【モスクワ現地レポート】モスクワっ子にうどんが大人気!でも「とんこつうどん」ってなに?

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とんこつうどん
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  • 丸亀製麺ノヴォクズネツカヤ店
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世界有数の大都市であるモスクワには、日本料理が食べられる店が数多くあり、モスクワっ子にも人気だという。その中で、ヘルシーで値段もお手頃だと“うどん”が、最近話題になっている。

セルフ式である「讃岐式注文方法」を採り入れ、本場の讃岐うどんのスタイルを提供している丸亀製麺。手軽に美味しんうどんを食べられることから、日本国内の店舗数は781を数えるうどんの一大チェーンだ。しかし、丸亀製麺の店舗は国内だけではなく、中国やインドネシア、ハワイなど、69に及ぶ海外店舗を持つ。ロシアには2013年にモスクワ市内に第一号店がオープン。現在ではモスクワ市内に6店、サンクトペテルブルグに1店の計7点を展開する。

今回足を運んだのは、モスクワ中心部にほど近い、丸亀製麺ノヴォクズネツカヤ店。トラムが通る大通りに面した角地に店を構える。ロシア語で「マルガメ」と大きく書かれた看板の下の戸をくぐると、木の色が温かい店内と立ち込める湯気が感覚を刺激する。

メニューを見ると、日本でも定番の「釜揚げうどん」や「温玉ぶっかけうどん」、「かけうどん」といった見慣れた名前が目に入ってくる一方で、日本人の感覚からすると明らかに“うどん”とは思えないような色味の食べ物が多くあることに気が付く。恐る恐るそれらの商品名を読み上げると、「照り焼きチキンうどん」「焼肉うどん」「とんこつうどん」「カルボナーラうどん」と、ローカライズメニューのオンパレードである。しかし、何となく美味しそうに思えてしまうのはうどんの持つ底力のせいだろうか。

記者は迷わず「とんこつうどん」をオーダーした。もはや日本にあるメニューを頼むつもりはなかった。オーダーは日本の店舗と同様、お盆をとり厨房にいるスタッフに大きな声で行う。すると1分も待たずにうどんが用意されるのは日本と同じだ。ロシアの丸亀製麺はサイドメニューも豊富だ。天ぷらはもちろん、カリフォルニアロールなどのロール寿司や、サラダもある。さらに言えば、焼肉丼やうなぎ丼、カレーライスといったご飯物まで用意されている。

会計はもちろんルーブルだが、ここまでの一覧の流れは日本とまったく同じだ。ちなみに「とんこつうどん」は210ルーブル(約630円)だった。天カス、わさび、生姜、ネギといった好きなだけ乗せたらいよいよ実食だ。

とんこつうどんのベースの具は、固ゆでの味付玉子半分と豚バラ肉の焼肉だ。具からレビューするのはポリシーに反するのだが、この豚バラ肉はうまい。食べ応えがあるように厚めにスライスした豚バラ肉を、醤油ベースの甘辛ダレでからめてある。さらには店内焼きとあって、心地よい温かさがあったのも好印象だ。味付玉子はおそらく既成品のものなのだろう。取り立てて言うほどのものではなかった。

順序が逆になってしまったが、次はスープ。熱すぎずぬるすぎずの絶妙な温度から、温度管理はしっかりしていることがうかがえる。スープ自体は可もなく不可もない、いわゆるオーソドックスな豚骨スープだ。しかし一点気になったのは、スープがあまりに薄すぎることだ。仮に博多系のラーメンでこのスープであるならば、細身の麺とも相性が良く不満はない。けれども、それよりもはるかに太い、ましてやコシの強さが自慢の讃岐うどんが相手ならば、スープはもう少し力強くてしかるべきだ。さらに言えば、釜から揚げてから、ラーメンほど十分に水切りをしないで器に盛る讃岐式とあっては、うどん自身の水分でスープが薄まってしまう。もう少し濃くあって欲しかった。

最後に、肝心のうどんである。上で述べたように、讃岐うどんと言えばコシの強さがキモである。そのような極めて日本式の視点に基づいて言えば、今回のうどんは明らかに柔らかすぎる。伸びてしまったと言うよりは、単純に湯通しの時間が長すぎたという感がある。ただ、だからといって即不合格というのは尚早だ。そもそも、欧米人は麺の“コシ”を日本人ほど重視しない(パスタはアルデンテと呼ばれるやや芯の残った状態での茹で上がりが至高とされているが、これは“コシ”を重視しているわけではなく、余熱を考慮してのことである)。ともすると、讃岐うどんというロシア人からすると“超極太”の麺に、さらに十分な“コシ”が与えられていると、彼らの口にあわないのではないだろうか。そのように考えると、モスクワの丸亀製麺で供される柔らかめのうどんは、ローカライズの結果なのかもしれない。

「とんこつうどん」は、個人的には美味しかったと思っている。しかし、日本で商品化されるほど日本人の口には合わないような気もする。モスクワっ子達は器用に箸を使ってうどんを食べていた。店内には日本のポップソングも流れていた。しかし、そこで提供されるうどんは、日本のそれとはどこか違っていた。なお、ロシア以外の各国の丸亀製麺でも、ローカライズされたメニューがあるようだ。日本のうどんをそのまま押し付けて拒絶されるよりも、現地のニーズに合わせて受け入れられた方が良いに決まっている。われわれは、世界各国の舌に柔軟に対応できるうどんをもっと誇りに思うべきではないだろうか。
《瓜生洋明》

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