専門家が教える、激安ロードバイクをおすすめしない4つの理由

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3万円で購入できるロードバイク(例)の仕様一覧。シマノ製は前後の変速機のみ
  • 3万円で購入できるロードバイク(例)の仕様一覧。シマノ製は前後の変速機のみ
  • 21年前に30万円で購入後、今も乗り続けているツーリング車

「ロードバイクを購入したいけど、家のローンがあるうえに子育てにお金が掛かり、自由になるお金が3万円しかない」との相談を受けました。

そのときは「型落ちでも3万円では難しい。7万円あればなんとかなるので少しずつ貯金すれば」とアドバイスしましたが、同僚から自転車の話を聞くうち気持ちが盛り上がったようで、今すぐにでも欲しいといった口ぶりでした。

ネットにはあるが

難しいとは言ったものの、本当に無理かと思ってネットで調べてみると、3万円前後で買えるロードバイクがいくつかあります。リヤの変速が7段(1社は8段)で、それを操作するレバーもブレーキとは別になっていて(1社は一体型)、さらに車重は12kgを超えます。こんなところが僕の薦める自転車(ブレーキ一体型の8段変速で、車重は10kgほど)に比べて見劣りするものの、レビューを見る限り評判は悪くないようです。

対面販売の重要性

では、前言を翻して3万円の自転車を薦めるかといえばノーです。第1の理由は、それがショップでの対面販売ではないということ。スポーツ自転車を快適に走らせようと思ったら、体格に合わせてハンドルやサドルのポジションを調整することが必要ですが、こうした安価な自転車を買い求める人の大半は初心者でしょうから、どのように調整すればいいのか戸惑うことでしょう。また、新車同様の状態を保つために欠かせないメンテナンスも、初心者にはハードルが高いものです。

スポーツ自転車を扱うショップはポジション調整をしてくれますし、部品交換を伴わないメンテナンスなら、期間は限られるものの無料で対応してくれるショップも珍しくありません。いわばショップで購入するということは、その価格にこのようなサービスも含まれているということです。

パーツの耐久性は

第2の理由としてフレームにしろパーツにしろ、それなりの品質や精度のものでなければ耐久性が担保されないということです。先ほど挙げた3万円の自転車も変速機はシマノ製が採用されており、段数さえ気にしなければ品質や精度が問題になることはないでしょう。ただ、見落としてはならないのは、それと組み合わされるチェーンやギヤ、あるいはブレーキ、ワイヤといったその他のパーツの多くがノーブランド品だということです。こちらは当然ながらシマノの基準を満たしているとは限らず、そこがネックとなってトラブルが発生することがありえます。また、あまりに安価な自転車は組み立てがおざなりで、ペダル軸がまっすぐ入ってない例もあったと聞きました。

機材を軽視すると本当の楽しさを味わえないかもしれない

自転車は機材スポーツですから、その性能の善し悪しが走りに大きな影響を与えます。僕自身もホイールを換えたところ、巡航速度が2kmほど上がって驚きました。逆に言えば明らかに性能が劣る自転車では、走る楽しみがスポイルされてしまうわけです。峠の上りでつらい思いばかりをすれば気持ちは萎え、せっかく購入した自転車とも疎遠になってしまいます。いくら安価だといっても、金をドブに捨てるに等しい行為といえましょう。

なけなしのお金をはたいて、あるいはコツコツとお金を貯めて購入した自転車には愛着も湧き、長く乗り続けようという気持ちも芽生えます。ちなみに僕が一昨年、チベットからネパールまでの1000kmを走った際にも乗った自転車は、1993年に30万円でオーダーしたものです。それから20年余、1年当たりに換算すれば1万4000円ほどですから決して高い買い物とはいえません。自転車を購入する際の、判断材料のひとつとなるでしょう。

【澤田裕のさいくるくるりん】3万円のロードバイクはアリかナシか

《澤田裕@CycleStyle》

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