ケイ・オプティコムは携帯電話サービス「mineo」の新プランおよび端末の発表会を開催した。同社モバイル事業戦略グループのグループマネージャー、津田和佳氏が会場に集まった記者からの質問に答えた。
――新料金プランが発表されたが、1/2/3GBそれぞれの割合はどれぐらいで推移するとみているのか
津田氏:やはり1GBが一番多いだろう。6~7割が1GBで、残りを2/3GBで構成することになるのではないか。これまで1GBでは不足して、“おかわり”するお客様も結構いたので、そういう方には2/3GBのプランは魅力的に感じられるはず。
――客層はどう変化する
津田氏:これまでに躊躇していたお客様が利用を始めてくれるケースが増えると期待したい。当社としても積極的にプロモーションして、リテラシーが高めの方々を新しい顧客として取っていきたい。今のところ、他のMVNOから乗り換えていらっしゃる方も想定以上に多いようだ。価格の魅力だけでなく、通信速度を含めた品質の良さが評価されている。
――サービスインから1ヵ月半で2万件の契約があり、うち20%が端末とのセットということだが、端末の売れ行きについてどう考察する。新端末ではどれくらいの売上を見込んでいるか
津田氏:端末はよく売れているが、予想以上にSIM単体のお客様が多く、見込んでいた20%以上の比率には到達していない。これまでに台数としては5,000台ぐらい売れていて、当初の計画を上回る出来だ。関心の高い新端末が牽引して、比率は上がるとみている。やはり同じく5,000台ぐらいを売上目標に掲げたい。
――サービス開始当初に出荷が遅れたりサポートでのトラブルもあったが、現状は問題ないのか
津田氏:当初、1日に当社が対応できる件数以上のお申し込みがあったため、トラブルを起こしてしまったことは事実だが、今ではだいぶ落ち着いてきた。今後はWeb上でユーザー同士がサポートし合えるユーザーコミュニティ的なサービスの設置についても考えている。ユーザーが皆で盛り上げられるサービスにして、マジョリティー層の獲得にもつなげたい。
――契約数が好調ということだが、上方修正はあるのか
津田氏:確かにスタートダッシュは良かった。初年度10万件について、気持ちとしては上方修正をしたいが、今のところは市場を見守りながら手堅く達成していきたい。
――端末セットとSIM単体、それぞれに1台目需要と2台目需要にどう応えているという感触があるのか
津田氏:もっと1台目需要が増えると思っていたが、2台目として併用されているお客様もまだ多い。mineoが1台目として使えるという信頼感をより広く得ていきたい。
――端末の調達はどう行っているのか
津田氏:KDDIのラインナップとして加わったものを、当社のサービスに合わせカスタマイズしてメーカーから調達している。
――mineoの端末以外でもキャリアアグリゲーションとWiMAX2+は使えるのか
津田氏:使用可能だ。
――3Gには対応していないが今後も対応しないのか
津田氏:最初にKDDIと接続交渉をしたときにLTEを選んだ。キャリアの主軸ネットワークはLTEの方向に進んでいくだろうから、今後の3G対応についても予定はない。現状のLTE一本で行くつもりだ。
――キャリアアグリゲーションやWiMAX 2+はmineoのユーザーにどれくらい響くと考えているか
津田氏:恐らく1~2割程度のお客様に支持されるだろう。お客様がどれくらい楽しんで使っていただけるかは、これから反響を見ていきたい。
――今回発売される新端末にはSIMロックがかかっているのか
津田氏:キャリアロックがかかっている。auは解除サービスを行っていないので、この端末でも同じく解除はできない。
――MVNOとして画期的なキャリアアグリゲーション、WiMAX2+対応なのに、値段は据え置きにしているが
津田氏:MVNOの中での市場価格を見比べている。あまりに高い製品を投入すると、キャリアとの差別化が図りづらくなる。
――なぜUQが提供するWiMAX 2+が使えるのか
津田氏:当社はUQとではなくKDDIと契約をしており、その内容に従ったもの。なぜ使えるのかについては契約内の重要な機密事項に当たる部分なので答えることができない。
――auとUQにはマージンを支払わなければならないはずだが、ユーザーの利用料金には添加されない仕組みになっているのか
津田氏:お客様に負担いただく仕組みにはなっていない。その分の負担がどこにかかるのかはコメントできない。
――新機種は少し高額な価格設定だが
津田氏:実験的に高価な端末を出して、リアクションを確かめたいという狙いもある。ユーザーがどこまでスペックを重視して、新しいものを求めるものなのかを見極めたい。
――端末のラインアップは今後どれくらい増やす
津田氏:端末についてはそれなりのラインナップ数が必要と考えている。年に数台は常に出していきたい。その中でモバイルルーターという選択肢も当然あるだろう。タイミングについては検討していく。
――大手キャリアは音声通話を定額化してきたが、今後MVNOにも波及していく動きなのか
津田氏:現時点では各キャリアが大幅に値段を下げるところにまできていない。色んなサービスプロバイダからプランが出てくるということは、お客様にとっては選択肢が増えて市場が活性化する良いきっかけになると考えている。MVNOが選ばれる余地も増えるだろう。
――総務省でSIMロック解除の義務化方針を打ち出したが、今後MVNOにも影響がでるとみているか
津田氏:MVNOにとってはとても有り難いこと。端末市場にとっても選択肢が広がるし、社会として喜ばしいことだと思う。でもだからと言ってすぐにmineoの対象端末が増えるかというと、それはないだろう。今後の動向を見まもりながらチャンスを伺いたい。
――クーリングオフへの対応は
津田氏:色々な議論が交わされている部分なので、お客様に対する説明も十分にしながら対応していきたい。
――au以外のネットワークを調達する予定は
津田氏:まずはauを選んだので、これをしっかりとサービスとして軌道に乗せていきたい。将来的にはマルチキャリアも考えられなくはないが、当面はauと一緒に頑張る。
――音声通話料が20円/30秒という価格の硬直性を打ち破りたいという考えはあるか
津田氏:当社ではIP電話サービスの「LaLa Call」もやっていて、十分な品質を確保できている。音声通話についてはこちらの付加価値も加えて提案していく。
――FTTHサービスとのセット販売は考えていないのか
津田氏:当社のFTTHサービスは関西圏を基本に提供している。一方でmineoは全国展開のサービス。関西だけでセット販売するのも効果が低いので、現時点では考えていない。
――秋に発表予定の新サービスの内容についてもう少し詳しく触れて欲しい
津田氏:具体的には言えないが、低価格端末のリリースを考えている。当社は後発のMVNOなので、サービスのラインナップを他社と同レベルに揃えていきたい。今日この場所で具体的に言えることはまだない。
――秋の新サービスは他社へのキャッチアップが中心になるのか
津田氏:システム対応など含めて、どのタイミングで間に合わせて行くのかについては、ほかのサービスとの兼ね合いもあるので現時点で具体的な確実ことは言えない。コストをかけずにサポート体制を強化していくことなども含めて考えていく。
――今後の販路拡大はどうする
津田氏:まずはWeb直販が中心。他のECサイトや量販店も選択肢に上がっているし、地方の中古ショップなどとも話をしていきたい。量販店については関西で「eo」というFTTHサービスを展開しているので、ここでのケーススタディも活かしながら話はしている。ただ、どのお客様をターゲットとして狙っていくのか議論が必要だ。慎重に検討していきたい。