日本の軽。“コンパクトカー”の視点から捉えて、かなり秀逸なクルマも多い。登場直後から増産を促すほどの人気ぶりの『ハスラー』は、その代表格だ。
楽しいのに実用的なこと。『ハスラー』の魅力はそこにある。カラフルな“色バリ”を揃える外観は街中でも風景に埋没しない。ホームセンターの駐車場でも、まるで欧州コンパクトカーのように、ちょっと際立つ(だから自分のクルマを見つけやすい)。実際に走らせていると、老若男女問わず『ハスラー』に関心を示す好意的な視線を感じた。レポーター個人としては、ベーシックな「A」を地味なボディ色でスチールホイール(専用品だ)のままスノッブに乗るのも好みだが…。
やや高めの着座位置は街中でも視界がよく、フロントガラスが立ち気味(つまりルーフが長い)なのは、頭上からの直射日光に乗員がさらされにくい副次的なメリットも。ベンチ風のフロントシートは、座面クッションがなかなか上出来で、長距離ドライブも苦にならない。後席スライドも便利で、ゆったりと人が座ることも、床を広げて、愛犬を“伏せ”でそこに乗せておくこともできる。
乗り味も軽としてはまずまずの重厚感。ステアリングも乗っているうちに適度な重さに感じるようになる。試乗車は「X」の自然吸気エンジンモデルだったが、アイドリングストップを効かせながら、日常的に20km/リットル以上の経済性を保って走ってくれる。シフトレバー横のボタンでSモードに切り替えると、ややエンジン回転を高めて使いながら、登り坂も苦にならない加速が得られた。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。