【マツダ アクセラ 試乗】すべての挙動が自然に伝わってくる…佐藤篤司

試乗記 国産車
マツダ・アクセラ 1.5L MT
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マツダの好調を支える“三大要素”と言えば魂動(KODO)デザインを基本に仕上げられた“カッコ良さ”、そしてスカイアクティブ・テクノロジーに裏付けられた“高い環境性能”にある。

そしてもう一つ、“人馬一体感” による走る楽しさも忘れては困る、とマツダは最新のアクセラのために鹿児島という試乗ステージと、乗り比べのためにガソリン、ハイブリッド、そしてディーゼルの3タイプのパワーソースを用意してくれた。

まずはガソリンの1.5リットルモデルはMTの15S。最初に答えを言えばこいつがもっとも“魅力的”だった。まず乗り心地の良さ。しなやかと言うか実に自然というか目に入ってくる路面変化がそのまま、不快感無く伝わってくる。その感覚が“クルマ”との一体感を感じさせてくれる。軽いフロントノーズ、きっちりと仕事をしていることが分かるサスペンションがフットワークの良さを伝えてくる。すべての挙動が重くもなく、軽くもなく程よく自然な感じで体に伝わってくる。気がつくとアップダウンの連続する指宿スカイラインをニコニコしながら鼻歌交じりでドライビングを楽しんでいる自分を発見。これだよなぁ、人馬一体って、ということだ。九州自動車道での追い越しや、上り坂での“後一歩のパワーが…”なんて思うこともあるが、トータルで見ればどんな速度域でも楽しく走っていたのだ。そして価格もリーズナブルで燃費もいい。アクセラのベストセレクトはこいつかも知れない。

そんな感覚を持ちながらハイブリッドに乗り換える。ご存じの通り、このハイブリッドシステムはトヨタ・プリウスと同じものだが、エンジンは1.8リットルではなく、マツダ製スカイアクティブの2リットルとモーターとの組み合わせ。実はハイブリッド、そのシステムの故に15Sより120キロほど重いのだ。この車重増が走り出すと如実に顔を見せる。よく言えば乗り心地にしっとりとした感じが加わり、静粛性も増している。しかし、その一方で15Sでは気持ちよく味わっていた軽快なスポーティ感は薄れてしまった。エネルギー回生を存分に利用しながら走れる市街地や郊外モードでの燃費性能は20km/リットル前後と満足レベル。ま、トータルでは“乗り心地が良く、スポーティなプリウス”を望むならこれだ。

最後に今回の鹿児島試乗会でのメインディッシュとも言えるディーゼル。アテンザと同じ2.2リットルターボである。ボディは5ドアハッチバックのアクセラスポーツのみに与えられる。サスペンションは専用チューニング、タイヤは前車2台とは違いエコタイヤではなく、スポーツタイヤ。ただ、18インチタイヤは少しオーバークオリティだし、履き替えのことを考えると価格的にも17インチで良かったような気もするが……。そんな小さな懸念も乗り出すと忘れた。ディーゼルターボの低速から盛り上がってくるトルク感が気持ちいい。高速での追い越しもアップダウンの連続も、スムーズに、ことも無く走り抜けてくれる。サスペンションの堅さとディーゼルエンジン特有のザラザラとしたフィーリングはある物の、不快とかストレスを感じるようなレベルではない。いや、スポーティな走りで言えば15S以上の楽しさを味わうことが出来、とくに指宿スカイラインといったスペシャルステージでは、まさに本領発揮!燃料費を節約しながらも“走りを楽しみたい”と言うならこいつだろう。

それにしてもクルマの基本である車体剛性をきっちりと高め、サスペンションを十分に煮詰めて仕上げると走りに与える効果は絶大。乗り心地、ステアリングやエンジンのレスポンス、そして静粛性などあらゆる性能が向上することを、ニューアクセラは証明してくれたのだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

佐藤篤司|自動車ライター
「週刊宝石」の自動車担当記者としてキャリアをスタート。以後、一般誌・新聞等を中心に自動車関連記事の編集・ライターとして活動。現在までに男性ライフスタイル誌、また夕刊紙などで自動車関連記事の企画執筆を行う。また女性ライフスタイル誌でも車両コーディネイト等で携わっている。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

《佐藤篤司》

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