富士通研、ローカルな場で複数の端末・機器間の情報交換を構築できる基盤技術を開発

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図1 プレイスサービス基盤
  • 図1 プレイスサービス基盤
  • 図2 端末間連携技術
  • 図3 機器連携技術
  • 図4 ローカルWebサービス

富士通研究所は、人が集まったその場で端末や機器をつなげて画面共有や協働作業を行う情報交換サービスを迅速に構築できる基盤技術を開発した。

近年、店舗や学校などの現場では、複数の人が接する場面でのモバイル端末活用が進んでいる。これまで、特定の場所に集まった人と人、人と機器とをつなぐサービスを実現するには様々な事前設定や複雑なプログラミングが必要だった。

今回同研究所は、事前にメンバー登録やドライバのインストールが不要で、人や機器をつなぐ連携サービスを迅速に構築可能なプレイスサービス基盤技術を開発した。

本技術により、人が集まったその場で端末や機器をつないで活用するアプリケーションの開発工数を最大で従来の約10分の1に低減することができ、学校におけるグループ学習、店舗における顧客端末への商品情報提供、大画面と連動した商品紹介などへの活用が期待できるという。

本技術は、5月15日/16日に東京国際フォーラムで開催する「富士通フォーラム2014」に出展される。

今回開発した技術は、以下の技術で構成される。まず第1には、端末にアプリケーションを配布するローカルアプリストアと併せて、プレイスサービス基盤として統合した。これにより、例えばローカルな環境にサーバが1つあれば、スモールスタートで人が接する場でリアルなコミュニケーションが実現できる。

第2には、場所を介した端末間連携技術だ。Wi-FiのアクセスポイントやNFCタグなどに記録されたIDに対応した場所(プレイス)を定義し、その場所で認識された端末に、ほかの端末との連携機能を付与したモバイルアプリケーションをサーバから自動で配信する技術を開発した。これにより、その場に閉じた通信路である情報チャネルが構成され、その場における情報交換が可能になる。

第3には、機器の仮想化技術だ。その場にある物理的な入出力機器に対して、ディスプレイやポインティングデバイスなど各機器の基本機能を仮想的なドライバとして提供し、機器ごとの機能差を吸収する。このドライバを利用するサービスAPIを介してその場の機器を連携することで、端末上で面倒な設定が不要となり、その場の機器が即座に利用できます。

第4には、ローカルWebサービスだ。その場の端末間、端末と機器の間で情報交換を行うため、開発で共通的に必要となるアプリケーション間の通信や共有メモリ制御などの機能をローカルWebサービスのAPIとして提供する。モバイルアプリケーションの開発者はこのAPIを使用するだけで、サーバシステムの構築やそれを利用するためのライブラリの開発が不要となり、アプリケーション間の通信や、その場のディスプレイに端末の画面を出力するなどの機能を実現できる。

今後は、今回開発したプレイスサービス基盤技術に関する実証実験を実施し、有用性の検証や機能の充実、利用シーンごとのテンプレートやソリューションの検討を進めて、2014年度中の実用化を目指すという。

《山内 博》

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