スズキは4月16日、都内で四輪技術説明会を開催し、今後に向けた燃費性能向上計画を発表した。その中でもっとも注目されたのが、これまでの「エネチャージ」技術を発展させた“マイルドハイブリッド”だ。
この「エネチャージ」とは、スズキが燃費を向上させる技術として2012年6月に『アルトエコ』に初搭載し、以降、『ワゴンR』や『ハスラー』などにも搭載を広げてきたものだ。
システムは、アイドリングストップ用の鉛バッテリーに加え、充電効率に優れたリチウムイオンバッテリーと高効率に発電できる高出力オルタネーターを組み合わせる。減速やブレーキを掛けた際に発生する減速エネルギーを回収して蓄電。この電力で電装品が賄われるため、走行中はオルタネーターを動作させる必要がなくなる。つまり、この分だけエンジンに対する負荷が減少し、結果として省エネにつながるというわけだ。
今回発表したマイルドハイブリッドは、このオルタネーターをさらに高出力・高効率化して+30%まで回生エネルギーを増加させ、これにより電力を走行アシストにも利用できるまでに改善する。ハイブリッドの一種ではあるが、『プリウス』などのようにEV走行ができるものではなく、主としてエンジンが苦手とする低速域や加速時のサポートに使うものにとどまる。
ポイントとしては、システム自体が低コストで搭載できるため、軽自動車などにも搭載が可能になるという点。フルハイブリッドほどの燃費改善効果は期待できないが、コストが高ければ搭載車は限定され、コスト削減にはつながらない。費用対効果を考えて開発すれば新興国向けの車両にも搭載可能になるわけで、インドで高いシェアを持つスズキらしい発想で生み出されたシステムと言えるだろう。
実は、スズキがハイブリッドエンジンを手掛けるのは初めてではない。2003年に登場した二人乗りの軽自動車『ツイン』に搭載したが、高価だったこともあり、販売は奮わず2005年に販売中止。今回のマイルドハイブリッドがこの反省を踏まえたことは間違いない。
また、昨年の東京モーターショーでは今回発表したシステムを『クロスハイカー』にいち早く搭載していた。となれば市販車への搭載時期が気になる。これについて本田治副社長は、「技術的にメドはついているが、現状はコスト面で苦しんでいる。1ヵ月や2ヵ月で搭載できるものではないが、できるだけ早い時期コンパクト車で成立させたい」と述べた。