【フォード フィエスタ 試乗】ワンランク上等のクルマにも引けを取らない走りっぷり…金子浩久

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ヨーロッパ・フォードの小型車『フィエスタ』が日本に再導入された。

「なぜ、フォード・ジャパンはヨーロッパで発表されて何年も経つフィエスタを今ごろになって導入するのか?」外観がほとんど変わらないから、そうしたギモンが聞こえて来るのも無理もない。しかし、中身はフルモデルチェンジに近いほどガラリと一新されている。

まず、エンジンが1リットル3気筒ガソリン直噴に置き換えられた。エクスプローラー、フォーカス、クーガとここ数年のフォードが精力的に導入してきているダウンサイジングエンジン「Eco Boost」シリーズの最小版である。「インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー」を獲得し、早くも名器の呼び声が高い。

その通りのエンジンで、箱根の芦ノ湖スカイラインに走り出してもパワー不足はまったく感じない。レスポンスも鋭く、ターボ過給による遅れもない。トランスミッションも6速のツインクラッチ式に変わった。つまり、パワートレインが丸ごと改められたのである。トランスミッションも賢くギアを上下させ、エンジンパワーを有効に使っている。シフトレバー横のスイッチを用いればマニュアル変速できるので、自分好みのタイミングで走れる。

ヨーロッパ・フォードのクルマの美点である懐の深いシャシーによるハンドリングの正確さと快適な乗り心地の高次元での両立が図られているのは、フィエスタでも変わらない。右ハンドルの小さなクルマであるにもかかわらず、ナチュラルなドライビングポジションが実現されているのも大きな美点のひとつだろう。

短所はインテリアのデザインモードが古く、小さなクルマの可愛らしさを表現できていないことと229万円という価格。低速時の自動ブレーキシステム「アクティブ・シティ・ストップ」の標準装備はありがたいが、エアロパーツやソニー製オーディオなどを省いてなんとか200万円を切るグレードの設定も期待したいところだ。

しかし、「走る・停まる・曲がる」という走行性能は同価格帯の日本車よりもワンランク上等で、このクルマの価値もそこにある。ボディサイズはコンパクトだが、走りっぷりはより大きなサイズのクルマに匹敵している。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア・居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

金子浩久|モータリングライター
1961年、東京生まれ。主な著書に、『10年10万キロストーリー 1~4』 『セナと日本人』『地球自動車旅行』『ニッポン・ミニ・ストーリー』『レクサスのジレンマ』『力説自動車』(共著)など。

《金子浩久》

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