【ホンダ アコード プラグイン ハイブリッド 試乗】ハイブリッドと一線画すパワーフィールと高められた快適性

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ホンダ 新型『アコード プラグイン ハイブリッド』
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ハイブリッド技術を柱に新世代エコカー戦略を推し進めるホンダ。その第一弾として昨年6月にデビューした『アコードハイブリッド』は、JC08モード走行時で30km/リットルという、ミドルクラスセダンのトップランナーとなる燃費性能で注目を浴びた。

そのアコードハイブリッドに外部電源からの充電が可能な大型バッテリーパックをセットアップし、短距離であればEVとして運用可能な『アコードプラグインハイブリッド(PHV)』の一般カスタマー向けリースが昨年12月にスタートしたという。そのアコードPHVは通常のハイブリッドモデルとどう違うのか、試乗車を借り出してテストドライブしてみたのでレポートしたい。

◆HV比5倍容量のバッテリー搭載で37.6kmのEV走行が可能

まずはアコードPHVのテクニカルスペックをおさらいしておこう。ハイブリッドシステム「i-MMD」は、最高出力169馬力(124kW)の走行用モーターと最高出力143馬力(105kW)の2リットルアトキンソンサイクルエンジンおよび発電機で構成されている。

低中速時は電気モーターで走り、エンジンは発電のみに用いる、いわゆるシリーズハイブリッド式で運転。高速域ではエンジンパワーを直接走行に用い、電気モーターがパワーアシストに回るパラレルハイブリッド式に切り替わる。ノーマルハイブリッドと大きく異なるのはバッテリー。総電圧はノーマルの260Vに対して320V、電池容量はノーマルの5倍強の6.7kWh。ステートオンチャージ(バッテリーの使用範囲)はおよそ50%で、EV走行可能距離はJC08モード走行時で37.6kmだ。プラグインハイブリッドでの燃料消費率(JC08モード)は70.4km/リットル。

◆ハイブリッドよりもモーターアシストが強力なドライブフィール

走行メカニズムはノーマルハイブリッドと同じなのだが、実際に走らせてみるとアコードPHVのドライブフィールはハイブリッドとかなり異なるものだった。違いが最も顕著だったのは、発進時や加速時のパワー感。ハーフスロットルくらいまで踏み込んで加速してもエンジンがかかることなく、バッテリーのパワーだけでぐんぐんスピードを乗せることができる。

アコードPHVのバッテリー出力は定格で40kWだが、開発者によれば5秒間くらいの連続出力であれば45~50kW、瞬間的には70kWくらいのパワーを出すことができるという。フルスロットル時には発電機を回すためにエンジンが起動するが、一般道で爽快な加速を味わったり、高速道路を100km/hでクルーズしたりといった範囲では、エンジンをまったく使わず純EVとして走らせることができるのだ。

またEVモード時だけでなく、エンジンを適宜使用するハイブリッドモード時でもバッテリーのパワフルさはプラスに作用するようで、エンジンを使わずに得られる加速はノーマルに比べて強力だった。アコードPHVのハイブリッドシステムi-MMDは高速走行以外はシリーズハイブリッドで駆動する。バッテリーの残量が少なくなるとエンジンがかかり、バッテリーの電力量が回復するとエンジンが停止、の繰り返しであることはノーマルハイブリッドと同じなのだが、回復後にはEV走行時と同様、バッテリーパワーのアドバンテージが生きるようで、加速のためにエンジンがかかる回数は明らかに少なかった。

◆遮音強化とエンジン使用頻度低減で静粛性も向上

車内の静粛性の高さも印象に残るポイントだった。もともとハイブリッドカーはエンジン負荷が低いため静粛性が高いものだが、アコードPHVはEVモード時は急加速以外エンジンを使わず、ハイブリッドモード時もエンジンの起動頻度が低いため、ノーマルハイブリッドよりさらに静かに感じられた。ちなみにアコードPHVはフロントドアに多層構造の遮音ガラスを採用しているとのことで、車外騒音の侵入も軽減されているとのこと。

◆326kmの総走行距離で燃費は24.2km/リットル

高速道路2割、山岳路を含む一般道8割の割合で326kmを途中充電なしで走行した結果、実燃費はEV走行を含めて24.2km/リットル。13.47リットルのガソリン消費にとどまり、燃料代にして2000円を切るという状況だった。また、充電量およそ3分の2の状態で東京都内の新青梅街道をEV走行したさいのEV走行距離は24.7kmであった。短距離走行が主体であれば、燃費トップランナーのアコードハイブリッドに対してさらにガソリン消費量を削減することができるだろう。

パワフルで燃費が良いことに加え、一定距離をEVとして使用可能なアコードPHVは、トヨタ、三菱自動車のプラグインハイブリッドカーと同様、クルマの動力の進化や未来的なエネルギーの使い方を先取りしたクルマだった。

個人向けリース価格が500万円だが、バッテリー技術が進化し、車両価格が下がるにつれ、より広いユーザー層に支持される可 能性は十分にある。将来が楽しみなクルマと言える。

《レスポンス編集部》

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