フルモデルチェンジで3代目となった日産『エクストレイル』には初の3列シートモデルが与えられた。
試乗車は「20X」の7人乗りモデル。発表会の会場でサードシートに乗ったときはちょっと無理かと思ったが、じっくりと観察してみるとこれが意外といける。私のような大柄な人間ばかりが乗るなら話は別だが、セカンドシートを少し前よりにスライドすればサードシートの足元もけっこう広めのスペースが確保できるのだ。乗員の配置を工夫すれば、それなりに乗れてしまう。
さて走りだ。新型エクストレイルは147馬力の直4エンジンを搭載。駆動方式は言わずと知れたオールモード4×4-i。走り出しからストレスがなく、スッキリと加速していく。車体は1.5トンとそれなりにあるが、その重さは感じさせない加速感だ。
今回のエクストレイルはホイールベースが75mmも延長されていることもあり、乗り心地がグッとよくなっている。とくに高速道路での移動などでのゆったりとした乗り心地は先代モデルとはひと味ちがう上級感を味わえる。それでいて、ハンドリングはクイック感を維持しているのだからなかなかたいしたものだ。
この乗り心地やハンドリングのよさは基本シャシーの性能に加えて、アクティブライドコントロールやヨーモーメントコントロールといったデバイス技術も寄与している。走らせているときにデバイスが作動すると、メーターパネルセンターの液晶部分に表示が行われ、作動していることを示してくれる。
コンセプトでもある「タフギア」としての性能を生かしつつ、普段の使いやすさも獲得しているエクストレイルだが、唯一の気になる点はボディが一回り大きくなったこと。全長は従来比5mm増の4640mmにとどまるが全幅は30mm増の1820mmとなった。大きくなったからこそ3列シートなど居住性の改善も可能となったわけだが、以前のモデルはあのサイズ感ならではの使いやすさというものがあった。サイズを気にすることなく乗れる生活環境なら、かなりアリのクルマに仕上がっている。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★
諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活躍中。趣味は料理。