【GARMIN Oregon 650TCJ インプレ前編】堅牢性と信頼性はそのまま、マルチタッチ対応で操作性が劇的に改善

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GARMIN Oregon 650TCJ
  • GARMIN Oregon 650TCJ
  • <写真650-02>フロント側は完全にフラットでスタイリッシュになった。右下の細長い穴はストラップホール
  • 右側面に電源ボタンとユーザーボタンが並んでいる。
  • 四角いワイヤーの金具を回して裏ぶたを開ける。
  • バッテリーは従来通り単3乾電池に2本。世界中どこでも手に入るという意味でこれ以上の電源はない。
  • バッテリーの下にはMicroSDカードのスロットがある。
  • ボディ下部のゴムのフタをめくり上げるとUSBの端子がある。
  • カメラにはLEDのライトが追加された。

オールインワンの多機能ハンディGPS、GARMINの「Oregon(オレゴン)」シリーズにニューモデル「650TCJ」が登場した。ハンドヘルドGPSとしてはベストセラーの人気を獲得した従来モデルの優れた点は継承しつつ、新たに様々な機能を搭載して多機能ぶりに磨きがかかった。見た目も操作性も垢抜けてスマホっぽくなったが、その本分を忘れることなく完成度を高めているのはいかにもGARMINらしい。

マルチタッチできる静電容量式ディスプレイをついに採用

GARMINはハンディGPSだけでも多数のラインアップを展開している。その中でオレゴンはアウトドア初心者にとって最も手に取りやすく、馴染みやすいシリーズといえるだろう。物々しいボタンを排してシンプルに徹した外観やタッチディスプレイによる操作は、スマートフォンを使い慣れた人に抵抗なく受け入れられるはずだ。

その用途が幅広い万能型のデバイスであるのもOregonシリーズの特徴だ。もちろん基本は登山やトレッキングに携行してルート/現在位置や高度を確認するためのものだが、趣味の範囲で山を楽しんでいる人ならば、そういう用途で毎日使うということはないだろう。むしろ年に数回かも知れない。それではハンディGPSをわざわざ購入するのはためらわれるが、オレゴンシリーズは道路地図がインストールされており、徒歩、自転車、自動車でナビとして利用することが可能。オプションと組み合わせてサイクルコンピューターやランニングウォッチとして使うこともできる。日常的にいろいろな用途に活用できるのが魅力なのだ。

さて、その最新モデル「650TCJ」はさらにスマートフォンライクに進化した。最大の変更点はタッチディスプレイが従来の感圧式からスマートフォンと同じ静電容量式に変更されたことだ。これにより、静電容量式だけで可能な2本の指を使っての操作、つまり地図の拡大/縮小や回転ができるようになった。まさにスマートフォンと同じ感覚で操作できるのだ。また、静電容量式となったことでディスプレイを含むボディ正面が完全にフラットなガラスで覆われ、非常にスタイリッシュになった。

従来の感圧式ではディスプレイと周囲のベセルに段差があり、しかもディスプレイ表面がツヤのないフィルムで覆われているため、どうしても高級感に欠ける。それでも従来のオレゴンシリーズが一貫して感圧式を採用してきたのは、手袋をしたままでも操作ができる事にこだわったからだ。スマートフォンを使っている人なら誰もが経験することだが、静電容量式は手袋をはめた手では操作できない。では、新たに静電容量式を採用した本機は時流に乗ってポリシーを捨てたのか? もちろんそうではない。驚くべきことに、650TCJの静電容量式ディスプレイは手袋をしたまま操作ができるのだ。

◆増えた機能や改良点は数えきれないほど

ボディサイズは高さ114ミリ、幅61ミリ、暑さ33ミリ、重量209.8グラムとなっており、これは従来モデル550TCとほぼ同じだ。わずかに幅が増え、厚みが減ったので平べったくなっているのだが、並べて比較しない限り分からない程度といっていいだろう。正面から見ると前述のように印象が一変しているが、背面のデザインや手に持って感じる質感は従来通り。いつものGARMINの「高級感はないが、ほっとするような信頼性を感じさせる」ものだ。

ところで、タッチディスプレイが最大の変更点と紹介したが、これはすべてのユーザーが必ず恩恵を受ける基本操作の進化という意味での「最大の変更点」だ。しかし、個々のユーザーにとっては「こっちのほうがよっぽど重要」と言いたくなるような変更点、機能の追加がこれでもかというほど実施されている。いくつかの機能は後述するが、とりあえず主な変更、追加機能をざっと挙げておこう。

●Bluetooth搭載と、これによるスマホとの連携 ●カメラに点滅機能付きのLEDライトを追加 ●ワンタッチでポイント登録などができるユーザーボタンを装備 ●GARMINから発売予定のアクションカメラ「VIRB」をワイヤレス操作 ●ランドスケープ(横位置)表示に対応 ●専用充電池使用の場合、電池を取り出さずに充電可能

主なものだけでも上記のように数多い。みちびき対応の高性能GPS、電子コンパスや気圧高度計、ANT+対応で多彩なオプションを利用可能、IPX7の日常生活防水、ディスプレイの解像度240×400ピクセル、アルカリ乾電池でバッテリーライフ16時間といった特徴は従来と同じ。地図データが「1/20万DEM付き日本全国概略道路地図内蔵(ルート検索可能)」、「詳細地図:日本登山地図(TOPO10MPlus)V2」、「日本詳細道路地図(シティナビゲーター)Ver.14」と3本も付属するのも従来と同じだ。

◆分厚い手袋をしたまま使える操作性に感動

本格的な登山とはいかずトレッキングや市街地の散策レベルではあるが、その使い心地を確かめてみた。まず何より最初に試してみたのは、本当に手袋をしたまま操作できるかどうか。まず手近にあったバイク用のレザーグローブで試してみたが、全く問題なく使える。そこで厚手の裏地が入った防寒用の手袋でやってみたが、これでも使える。ちょっと強めに指を押し付ける必要があるが、全く問題ない使い心地だ。

さらに条件を厳しくして、自宅にあるグローブの中では最も分厚い、バイクの冬用グローブで試してみた。さすがに普通に操作しようとしても反応しないが、人差し指の腹をディスプレイにしっかり押し付けるようにしてゆっくり操作するとちゃんと反応してくれた。マルチタッチはほぼ無理だが、それ以外はちゃんと使える。

普段使っている『iPhone 5』で改めて実験してみると、薄手の作業用手袋でも全く反応しない。当たり前といえば当たり前なのだが、それだけに当たり前を覆して手袋での操作が可能になった本機の使いやすさには驚きを感じた。こうしたデジタルデバイスはいかにスマートフォンと差別化するかが重要だが、寒い屋外でも手袋を外さずに使えるのはスマートフォンに真似のできないアドバンテージといえるだろう。

細かいことだが、操作系でもう一つ実感したのは画面隅に表示されるボタンが押しやすくなったことだ。OregonシリーズのUIは画面下隅に戻るボタンやキャンセルボタン、メニューボタンが表示され、これをタップしなければならない操作が非常に多い。しかし、以前のモデルではディスプレイとベゼルに段差があったためこのボタンが押しにくく、他のボタンは指の腹で押すが、下隅のボタンだけは爪で押すような感じになってしまっていた。しかし、全面がフラットな本機では違和感なくタップすることができる。

また、メニュー等のデザインも一新された。使い心地としては大幅に進化したというほどではないが、有り体に言えばやや野暮ったかった従来のデザインセンスがかなり改善され、垢抜けたといっていいだろう。

《山田正昭》

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