酔客の転落を見逃したタクシー運転手、嫌疑不十分で不起訴に

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今月中旬、奈良県葛城市内の南阪奈道路下り線を走行中のタクシーから乗客の男性が誤って転落し、後続車にはねられて死亡した事件について、奈良地検は24日、道路交通法違反で逮捕されていたタクシー運転手を嫌疑不十分で不起訴処分とした。

問題の事故は2013年12月13日の午前0時40分ごろ発生している。葛城市中戸付近の南阪奈道路下り線(片側1車線の直線区間)で、通行人が路上に倒れている人を発見して警察に通報。駆けつけた奈良県警・高速隊の隊員が複数台のクルマにひき逃げされて死亡している男性を確認。後の調べで明日香村内に在住する71歳の男性と判明した。

男性は大阪府大阪市内で酒を飲み、タクシーで帰宅する途中だったが、タクシー乗車中に嘔吐しようとドアを開けた際に転落。さらに後続車にひき逃げされた可能性が高くなり、警察はこのタクシーを運転していた64歳の男を道路交通法違反(救護義務違反)容疑で逮捕。調べを進めてきた。

聴取に対して男性は「乗客が転落したという認識は無かった」と供述。タクシー車内に設置され、後部座席を撮影していた防犯カメラの映像には男性が転落する様子が映っていたが、運転手の様子に特段の変化が見られなかったこともあり、検察は「運転手が男性の転落を認識していたかどうかの立証は困難」と判断。嫌疑不十分で不起訴とした。

転落後の男性をはねたクルマは通行記録から特定され、2台が関わったと判断。最初にはねた桜井市内に在住する25歳の男と、その次にはねた大阪府富田林市内に在住する34歳の男が道交法違反(ひき逃げ)容疑で逮捕されており、捜査が進められている。

《石田真一》

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