羊の皮をかぶったオオカミ、ヴィッツ RS レーシングの実力とは

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ヴィッツ RS レーシング
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ナンバー付きで参加できる「ヴィッツレース」のマシンは、見た目は普通のコンパクトカー、でも中身はレースに参戦できる本格仕様。レース用のカラーリングを外した日常での存在は“羊の皮をかぶったオオカミ”だ。

レース以外でも普段使いをしている参加者も多いという「ヴィッツRSレーシング」、そのマシンの実力を探った。

ヴィッツレースは、ワンメイクレースとあってマシンの性能差はなく、ほぼイコールコンディション。23日に行われた、日本一のヴィッツ使いを決定する「ヴィッツレース」のグランドファイナル戦では、富士スピードウェイのサーキットを舞台に45台のヴィッツが決勝レースを戦った。

決勝レースは11周で争われレース時間の約25分のあいだ、各マシンが団子状に固まりテールトゥノーズの接戦を繰り広げる、ドライバーの一瞬のミスで順位が大きく変わってしまうシビアなレースだった。

スポーツ走行を楽しみたい人に向けて

本格的なレースを戦えるヴィッツRSレーシングについて、車両の開発を手がけるトヨタテクノクラフトTRDモータースポーツ部の櫻井康彦さんに話を聞いた。

櫻井さん「このヴィッツRSレーシングは、ワンメイクレースに出る人だけでなく、スポーツ走行を楽しみたい人に向けて開発をしています。低コストで走りを楽しんでもらうため、車両の価格もノーマルのRSにプラス30万円ほどとして、後からダンパーやロールケージを入れるよりもリーズナブルな価格設定になっています」。

「車両価格を抑えるために、タイヤとホイールに関しては交換することを前提にしていて、納車時はスチールホイールと標準のRSと比べて一回り小さいタイヤを装着しています。また、軽量化のため、インパネ素材などはベースグレードのものを採用したり遮音材を減らすことで、RSグレードと比べて約10kgの軽量化を実現しました」と車両の特徴を説明。

ワンメイクレース開催に向けての仕組みとしては、「低コストで皆さんにレースを楽しんで頂くためには、車両の方でイコールコンディションを作り上げなければならないと考え、エンジンにはチューニングができないよう封印をするなど改造幅を少なくしています。ですので、レースではドライバーの腕が試されます」と話した。

実際に「ヴィッツRSレーシング」に試乗してみた

今回試乗した車両は、レース専用のカラーリングが施され、本格的なバケットシートに交換されていたが、シートを交換するだけで特別なモデルに乗っている感じがするのが印象的。

実際に試乗してみると、ロールケージが装着されることで“乗り降りがしづらいのでは?”と思っていたが、ベースがヴィッツだけに『86』などスポーツモデルと比べるとドアの開口部が大きく車高も高いので、コツを掴めばスムーズに乗り降りできそうな雰囲気。

一般の道路を走行してみると、動力性能はノーマルのヴィッツと変わらないので、発進加速のときアクセルやクラッチの操作を特に気を使うこともなく扱いやすい。乗り心地は、道路のつなぎ目や段差ではそれなりに体に感じるショックが大きいが、40-60km/hといった日常の走行領域ではロールケージを装着したことによる車体剛性のしっかり感を感じるメリットの方が大きい。高速域になってくると足回りの強化をしたことによる安心感を感じ取れサーキット走行を試したくなる気分にさせられた。

サーキットを走行したときの印象はどうか?

23日開催の「ヴィッツレース」のグランドファイナル戦を制して2013年の“ヴィッツ使い日本一”となった“デパマン石渡”こと石渡眞佐之さんにサーキット走行時の話を聞いた。

石渡さん「サーキットの練習走行では、パワーのある車と一緒に走ることもあり直線では当然おいていかれてしまうんですが、実はコーナーではヴィッツで走り込んだ人のほうが速いんです。タイヤやブレーキの使い方、コーナーで車の挙動がどうなっているのか、全ての性能を使い切らないと速く走れないヴィッツのドライバーは、それを知っているからなんですね」。

「エンジンパワーのある車も楽しいのですが、コーナーを前にしてブレーキングから始まり、ステアリングを切って車の挙動がどうなっているのか?、立ち上がりにトラクションをどうかけるか?、コーナーで自分の運転技術が試される、車を操る楽しさがあると思います」とその印象を語った。

確かに、今回の試乗でも、タイヤから伝わってくる路面の情報が、車体剛性が高められていることとバケットシートのホールド性の良さからなのか、車体から伝わる余計なノイズが抑えられタイヤと路面がグリップしている感覚を全身で感じることができた。ノーマルのヴィッツでは味わえない特別な感覚だ。

レースマシンでありながら日常性を保ちつつ、サーキットではエンジンパワーやタイヤの性能を使い切り、車との一体感を楽しめるのが「ヴィッツRSレーシング」の魅力といえるかもしれない。

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