欧州とアジアを結ぶトルコの海底トンネル開業…開業早々トラブルも

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ボスポラス海峡トンネルの信号システムは独シーメンス製を導入。写真は運転台の様子
  • ボスポラス海峡トンネルの信号システムは独シーメンス製を導入。写真は運転台の様子
  • 『オリエント急行』の終着駅として知られるイスタンブール・シルケジ駅の在来地上ホーム。線路の脇には「マルマライ・プロジェクト」の工事事務所がある。この下に海峡横断鉄道の地下ホームが整備されている。
  • 建設は日本の円借款によって行われ、大成建設が施工。シルケジ駅脇の工事事務所には「JAPAN」と記された垂れ幕が掲げられている。

トルコ・イスタンブールのアジア側とヨーロッパ側を海底トンネルで結ぶボスポラス海峡横断鉄道が、同国の建国90周年にあたる10月29日に運転を開始した。同国の英字紙ハリエット・デイリーニューズをはじめ、各国主要メディアが報じた。

今回開業したのは、イスタンブールのアジア側とヨーロッパ側を隔てるボスポラス海峡の海底トンネルを含む約13.6km。既存路線の改良と合わせて約76kmの鉄道を整備する「マルマライ・プロジェクト」の主要部分で、建設は日本の円借款によって行われ、大成建設が施工した。あらかじめ地上で製造したコンクリート製のトンネルを海底に沈めて接続する沈埋工法のトンネルとしては、世界最深の海面下60mに建設されている。


(トルコの通信社CihanがYoutubeにアップした、開業日の様子を伝える動画)
車両は韓国・ヒュンダイロテム製で、1両の長さが約21.5mの片側5ドア車10両編成を34本、5両編成を20本投入。信号システムはドイツ・シーメンスによるシステムが導入され、通勤列車は同社製のCBTC(無線による列車制御システム)「Trainguard Sirius」を使用し、最短2分間隔での運転が可能という。長距離列車用としてはETCS(欧州標準信号システム)レベル1が導入される。

29日には日本から安倍晋三首相も出席して開業式典が行われたが、翌日からトラブルが発生。ハリエット・デイリーニューズによると、30日朝にはドアのトラブルや停電が発生し、トンネル内を乗客が歩いて退避する事態となった。トルコ国鉄(TCDD)によると、乗客が非常ボタンを扱ったことが原因とみられる。

トンネルについては地震の際の安全性に懸念を示す声も報じられているが、AP通信の記事によると、同国のユルドゥルム運輸相は「マグニチュード9.0に耐える設計で、イスタンブールで最も安全な場所」だとしている。

《小佐野カゲトシ@RailPlanet》

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