北近畿タンゴ鉄道、上下分離に向け運行会社の募集を開始

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KTR宮津線で運転されているKTR800形。KTRは経営の悪化から上下分離方式を導入することになり、このほど民間運行会社の募集を始めた。
  • KTR宮津線で運転されているKTR800形。KTRは経営の悪化から上下分離方式を導入することになり、このほど民間運行会社の募集を始めた。
  • 現状の運営体制(左)と上下分離後の運営体制(右)。KTRは施設保有会社となり、新たな民間運行会社がKTRから車両や施設を借りて列車を運行する。
  • KTR宮福線で運用されているMF100形。
  • 特急『たんごリレー』などで運用されているKTR8000形。
  • 観光列車『丹後あかまつ』で運用されているKTR700形の改造車「あかまつ」。
  • 観光列車『丹後あおまつ』で運用されているKTR700形の改造車「あおまつ」。
  • KTR線は一部が電化されており、JR西日本の特急電車が乗り入れている。写真はJRの381系特急形電車。
  • KTR宮津線の木津温泉駅。駅舎のホーム側には足湯が整備されている。

北近畿タンゴ鉄道(KTR)と京都府、兵庫県などは10月31日、KTR線の上下分離方式による鉄道事業の再構築に向け、民間運行会社の募集を始めた。

KTRは、京都府や福知山市、宮津市などが出資している丹後半島の第三セクター鉄道。国鉄の経営悪化を受けて工事が凍結された宮福線福知山(京都府福知山市)~宮津(宮津市)間30.4kmの運営会社として1982年に設立され、1988年に開業した。当初の社名は宮福鉄道だったが、1989年に現在の社名に改称。1990年からは西舞鶴(舞鶴市)~宮津~豊岡(兵庫県豊岡市)間83.6kmを結ぶJR宮津線の経営も引き継いだ。

沿線には景勝地として知られる天橋立があるものの、開業当初から赤字経営。少子高齢化による通学輸送の減少などもあって経営の悪化が進んでいる。全体の輸送人員は2008年度の200万3000人に対し2012年度は187万人で、この5年間で約13万人減少した。こうしたことから上下分離方式を導入し、経営の改善を図ることにした。

KTRなどが発表した募集要項によると、KTRは線路施設や車両などを保有する施設保有会社(第3種鉄道事業者)に改組。公募により選ばれる民間の運行会社は第2種鉄道事業者となり、施設保有会社から車両と施設を借りて列車を運行する。運行会社は施設保有会社と基盤使用契約を締結し、一定の使用料を支払う。

施設の維持管理や修繕などは、施設保有会社が基盤管理委託料を支払って運行会社に委託する。沿線自治体は施設保有会社に対して基盤管理や基盤整備の補助を行い、運行会社に対しては収入を保障するとともに利益還元の提案を行う。

今後は11月8日に福知山市で募集説明会を開き、11月11~29日に資料閲覧や現場視察、ヒアリングなどを実施。質問の受付は11月29日までとし、12月9日に回答する。提案書や添付書類の提出期限は2014年1月8日。その後は1月中旬以降、提案書やプレゼンテーションによる審査と選考を実施し、運行会社を選定する予定だ。

《草町義和》

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