【スマートモビリティアジア13】202X年、ビッグデータは“おもてなし”を支える

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左から神尾寿氏、林信行氏、西田宗千佳氏
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スマートモビリティアジア13のジャーナリスト対談。神尾寿氏、林信行氏、西田宗千佳氏の3名が、今後のクルマとスマートデバイスについて意見を述べた。

音声認識

「2013年、世界で行われた次世代IT関連イベントで、自動車メーカーが積極出展していた」との認識は、3者共通。自動車とスマートデバイスの主従関係については賛否あるが、連携という部分では目に見える形で加速しているという。

今後のクルマとスマートデバイスについて「音声認識がトリガーになる」と述べるのは神尾氏。自動車での音声認識は、開発が20年以上前から進められていたが、なかなか浸透しなかった。うまく音声を認識しないからである。しかし近年、スマホへの音声認識搭載で、技術が一定レベルを超えた。ポイントはサーバにおけるデータ蓄積により、利用者が使えば使うほど情報が蓄積し、結果として認識機能が“成長”しているからだという。

自動運転

すでに技術はあるが「法規制」と「損害保険」の面でルールが定まっていないことで、実用化の手前にある自動運転。

神尾氏によると「自動運転は駐車から始まっています。スマホがそう遠くない将来、クルマのリモコンになる。自動パーキングのリモコンアプリなどが自動運転の始まりになるとみています」。

ビッグデータ

ビッグデータの利用と街づくりについて西田氏は通信のインフラの品質を切り口に解説。「通信のクオリティは常に向上しています。ソフトバンクをはじめ、ユーザーの利用情報の蓄積で品質が向上している。位置データと利用状況を解析することの繰り返しが結果につながっています」と話した。

林氏は、移動という観点から解説。「ナビタイムさんをはじめ、歩行からクルマ、鉄道、飛行機など、交通状態のリアルタイムデータの可視化が進んでいます。オバマ大統領が情報の公開について積極策をとることを明言し、実行しています」。神尾氏が「大きなデータは民間、行政でもどんどん集めていますが、どう解析するかと、公開するか、というところの判断がポイントになるフェーズですね」と返す。

これに西田氏は「トヨタはデータ利用に料金体系を作って、クラウドなども用意して行政や中小の民間でも使えるようにしてくれています。小さな企業でも自分たちのビジネスを改善するためにデータを使うことができるようになっています」

これを受けて神尾氏は「データ集めは大きな組織の方が効率は良いけれど、データに価値をつけるのは大きな企業ではなく小回りの利く企業の方。発想が柔軟で素早いですからね」とした。

202X年のモビリティ

2020年代に向けて人の行動、移動がどう変わるか。ポイントについて。

西田氏は「やっとスマホ、タブレットが定着しました。次のデバイスはウェアラブルデバイス。腕時計とか眼鏡とかですね。いかに安全、自然な姿勢で情報を取り込むか。技術的にはパーツはできていましたので、あとは必要なサービス、商品にすることです。これは誰もできていません。iPodのようなものが登場すればブレイクスルーとなるでしょう。iPodは自分が持っているCD全部持ち歩ける、という便利さでみんなが便利だと思いましたよね。これからのウェアラブルデバイスは明日、作られるかもしれないですね」。

林氏は「2020年は東京オリンピックです。東京だと、なんらか逃げ道となる交通手段の構築、発見が求められるでしょう。多様な交通手段を組み合わせて快適に。効率だけでなく、景色や快適性、そういうところに注目してもよいのではないかと思います」。

神尾氏は「2020年代、スマホはあたりまえ。そこから集まるビッグデータもあたりまえになります。デバイスも大事ですがサービスがより大切です。現状では2000年代の傾向がまだ続いていると感じます。それはデータの一部切り出しです。2020年代はあらゆることがデータ化されている。そのデータを用いて、ユーザーを察して提案できる、未来予測につなげる。そうした察し、予言の機能を用いた“おもてなし”ですね。いまユーザーはいちいち細かな作業もやりますけれど、サービス提供側がユーザーの負担を軽減してあげられるようにならなければいけないという気がしています」。

《スマートモビリティアジア:水素モビリティイベントのお知らせ》

スマートモビリティアジア2013@福岡(10/10~10/12)

水素モビリティ講演会 10月12日(土)
場所:九州大学伊都キャンパス

1)燃料電池自動車同乗試乗体験:10:00-13:00

本田技研工業:FCXクラリティ
トヨタ自動車:トヨタFCHV-adv
日産自動車:05FCV

2)燃料電池講演会:「燃料電池が切り開く新しい未来」:14:25-16:05

講演1:
九州大学 次世代燃料電池産学連携研究センター
主幹教授 センター長 佐々木 一成 氏

講演2:
トヨタ自動車株式会社 製品企画部
製品企画主査 田中 義和氏

講演3:
株式会社本田技術研究所
四輪R&Dセンター第5技術開発室
上席研究員 守谷 隆史 氏

講演4:
日産自動車株式会社
企画・先行技術開発本部 FCEV開発推進室
室長 坂 幸真 氏

パネルディスカッション:16:20-17:00
パネラー:上記の各講師
モデレーター:レスポンス編集長 三浦 和也

《土屋篤司》

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