【インタビュー】ビィ・フォアード山川社長「各国の市場のトップシェアを獲る」

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ビィ・フォアード 山川博功社長
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インターネットを通じて中古車輸出ビジネスを展開するビィ・フォアードは月8000台以上の中古車を世界51か国に供給する。ビィ・フォアードの山川博功社長は今年中にも輸出台数が月1万台を超えてくると語る。

◆在庫9000台弱を自社で抱える

---:ビィ・フォアードのビジネスモデルをお聞かせください。

山川社長(以下:敬称略):中古車輸出をしているというと、「えっ、盗難車?」と必ず聞かれます。ひところトヨタ自動車『ランドクルーザー』が盗まれて輸出されるということばかりが表に出て騒がれたことなどもありましたので。しかし当社の場合は実際に在庫として存在する車をホームページ上にアップして、そこにお客さまが車を買いにくる。インターネットショッピングのような感じです。

---:実際に自社在庫として抱えている台数は。

山川:8700台弱です。ここがポイントのひとつなのですが、当社は実際に車を買っています。ビー・フォアードの在庫として所有しています。つまり、「この車は売れるだろう」と予想して仕入れるのです。一方で、判断の結果、損しても構わない。例えば「この車は10万円損しなければ売れない車だ」とわかった。だからこの車は10万円以上安くないと仕入れないという、データベースとなります。当社はこのデータを蓄積しています。データはシステムで管理しています。

◆台数をさばけるから値段は安い、信頼性が高い、デリバリーも早い

---:仕入れはどのようにおこなっているのでしょうか。

山川:オークションがほとんどです。全国の主だったオークション会場にはほとんど行っています。また、当社とは別に買取店を持っていて、その店でかつて私は、ひとりで月に150台くらい仕入れていました。

---:そうしますとかつては買取店で車を仕入れてオークションに出品していたものを、海外に輸出するようになったのが、今のビジネスのきっかけになったというわけですね。

山川:最初は独自に輸出に取り組んでいました。その後(中古車輸出サイトの)「トレードカービュー」のサイトも利用させていただき、トップクラスの取引量を扱うようになりました。

---:そしてトレードカービューのASP(アプリケーションサービスプロバイダ)とは別に自前のサイトを立ち上げたということでしょうか。

山川:はい、自社サイトを立ち上げました。そうすることでコストを削減できます。当社のサイトでは、売れる車、なおかつ、その車を魅力あるように見せる工夫もしています。そしてコストカットにより、車の販売価格も抑えている。そこがもうひとつのポイントですね。

加えて、当社は日本でも最大規模の自動車輸出台数を誇る船会社さまと連携させていただいています。そのためスピードがあります。なおかつ現地に着いた車がもし動かなくなったら、動くようにするということを基本姿勢として持っています。こうしたフォロー面で、お客さまに満足していただけるよう、取り組みを強化しています。

◆一部の悪徳業者のために日本の輸出業者全体の評判が落ちる

---:購入した車が現地に着いてエンジンがかからないとか、調子が悪く走らないということもしばしばあるということですね。

山川:なかにはお金だけ受け取って実際に車両を送らない業者すらあります。こうした一部の業者のために日本の輸出業者の評判が落ちてしまいます。そこで当社に頼めば確実に車が届く、スピードも早い、なおかつ面倒もみてくれる。そうすることで、お客さまが増えます。当たり前のことに取り組んでいるだけなのです。

---:サイト上に示されている価格は輸送費なども含まれていますか。

山川:最初は車両本体価格だけの表示ですが、例えばタンザニアのお客様が購入したい車があれば、サイト上で国名のタンザニアを選んで、陸揚げ港をダレッサラムに指定する。すると、ダレッサラムで受け取れる価格を自動的に計算して提示するようになっています。

---:そうしますと陸揚げ港で車両を引き渡す仕組みですか。

山川:港ではなく最寄りの街で車を受け取れる体制をいま構築しています。現地のパートナーと提携してビィ・フォアードの品質でお客様に車を届ける。スピードと確実さと安心感をもって、お客様が現地で車を受けとれるよう、仕組みを構築しています。

◆価格を透明化して信頼勝ち取る

---:現在の販売実績と輸出先は。

山川:3年前は月に1000台いくかいかないかくらいでした。いまは月間8600台くらいです。今年中には月1万台まで届けばと考えています。

月1000台だったのが翌年には5000台、6000台と増えました。輸出先は51か国。なかでもアフリカは市場が大きいので輸出台数が一番多いのです。

---:3年間で急成長できた理由は。

山川:システム面は大きいですね。値段を見やすくすること、自動計算のシステムなどです。他の同じようなサービスを展開している方々に負けないよう、システム面で磨きをかけました。結果、アフリカの日本車を買いたい人たちの支持を得ました。もうひとつは、「ビィ・フォアード」というブランドの構築です。お金を払えば間違いなく車が来るというのは、日本人には当たりですが、アフリカの方々などにとっては、その当たり前が当たり前ではない状態になっていました。ビィ・フォアードに頼めば安く、速く、必ず届く。信頼できるブランドの構築を行なっています。

---:車両価格が十数万~数十万円程度でも輸出で利益を上げることができるのでしょうか。

山川:できます。当社の場合、1台あたりの利益が3万数千円ほどなのです。輸出というと1台20万円くらいの収益が出ないと困る、という考えではありません。

◆各国の市場のトップシェアを獲る

---:アフリカまで輸出して、利益3万円程度で採算は成り立つのでしょうか。

山川:システムが自動的に値段を提示して、セールスの人間が最終的なやりとりをし、あとは一連の流れが出来上がっています。そうしたフローを構築していますので、小さな利益でも成立します。

---:10年落ちの車を新興国に輸出した場合、品質面は問題ありませんか。

山川:10年落ちの車はまだまだ使えます。アフリカでは、新車と呼ぶくらいです。10年落ちの車が数万円になってしまう国は日本くらいではないでしょうか。日本の車は、10年落ちでもそれほど走行していないし、車検制度もあるので手入れもしっかりしている。なにより日本人は車を大事に使います。ぶつけたらすぐに修理しますから。

また日本で売られている欧州車の場合、日本向けの仕様になっているので、他国向けより品質が良い。それなのに日本の中古車は安いのです。

---:今後のビジネスはどう展開していくお考えですか。

山川:当初の目標であった「輸出台数日本一」を掲げるのはやめ、「各国の市場のトップシェアを獲る」に変えました。我々の手がけるビジネスでは、シェアを獲ると、知名度があがり、さらに売れます。なので、各地でのシェアを追求してきます。

《小松哲也》

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