ダイハツ『ムーヴ』に続いて、スズキ『ワゴンR』にも衝突軽減ブレーキが搭載され、軽ワゴンの二大巨頭がこのシステムで揃い踏みとなった。搭載されたシステムはいずれも赤外線を使ったレーザーレーダーによるもの。ただ、両者のシステムには微妙な違いがあった。
興味深いのはシステムが搭載された位置だ。ムーヴはフロントバンパー内に組み込んでいたが、ワゴンRはフロントウィンドウ上部に取り付けた。実はこの違いが両車の性能差にもつながる要因となっている。
ムーヴでは、ぶつからず停止できる速度を20km/h未満としているが、ワゴンRは15km/h未満をその保証範囲としている。同じ赤外線を使っているのにこの違いはどこから来るのか。ムーヴがデンソー製で、ワゴンRが独・コンチネンタル製であるため、ここに性能差があったのかとも思ったが、実はそうではなかった。
スズキ四輪電装設計部の小杉研一氏によれば「システムの中核となるレーザーレーダーが捉えられる距離は基本的に大きく変わらない」のだという。つまり、性能差は他にあり、それはセンサーの取り付け位置にあったのだ。
その説明による概要は次の通りだ。
ムーヴは取り付け位置をバンパー内としたため、ほぼ水平に前方車両を捉えられる。対するワゴンRはそれをフロントウィンドウ上部としたため、前方車両は斜めで捉える結果となる。レーザーレーダーの性能が同じとすれば、より遠くまで届かせるには水平の方が有利だ。つまり、水平にレーダーを発するムーブは、より遠くで前方車が捉えられることになり、これが停止できる速度差につながったというわけだ。