2012年2月からタイトヨタが提供しているスマートフォン向けテレマティクスサービス「smart G-BOOK」。
日本以外の国で初めて展開されたタイのsmart G-BOOKは、スマートフォンでの渋滞情報付きナビゲーションに加えてオペレータサービスによる目的地設定、緊急ロードサイドサービスなどを提供している。アプリの利用価格は999バーツ(約3400円)で、G-BOOKコールセンターの利用が1年間無料になる。
◆スマホ世代にハイテクトヨタをアピール
タイトヨタではブランドの先進イメージ醸成のため、smart G-BOOKを大々的にローンチしたという。
同社のカスタマーサービス・マーケティング部長、Sinives Nutthon氏によると「smart G-BOOKの立ち上げにあたっては、当社としてクルマ以外の製品で初めてプレスカンファレンスを開催し、“テレマティクスとは何か”を分かっていただくためにテレビCMも流している。紙媒体やWebでも告知キャンペーンも行った」と説明する。こうしたsmart G-BOOKのキャンペーンが功を奏してか、タイ国内で2012年末に実施されたニールセンのテクノロジーブランド調査では、1位を獲得するなどのブランドイメージの向上に寄与していという。
タイ国内のsmart G-BOOKユーザーは、2013年第1四半期終了時点で7万を超えているが、さらにテコ入れを図るため30日間の無料トライアルや、後に述べるアプリのバージョンアップ、そして対応ディスプレイオーディオ(DA)の拡充をおこなった。これらの施策により、利用ユーザーは合計で11万を超える見込みだ。
◆smart G-BOOK対応ディスプレイオーディオを一部グレードに標準搭載
2013年3月、タイトヨタはsmart G-BOOK機能拡充をおこなった。Nutthon氏は「アップデートのポイントは2つある。まずオペレータサービスの対応言語に、これまでのタイ語と英語に加えて日本語が利用できるようになったこと、そしてこれまで特別仕様車でしか選べなかったsmart G-BOOK対応ディスプレイオーディオが純正ディーラーオプション(DOP)として設定され、単体で購入可能になることだ」と説明する。
日本語対応については、タイ国内には日系企業が多数進出しており、そうした駐在者向けにオペレーターサービスを提供するため、とタイトヨタは説明する。もうひとつのディスプレイオーディオについては、DOP用の新機種(パナソニック製)で新たに3D表示にも対応。2013年後半にはCANに接続したライン装着のディスプレイオーディオもラインナップに揃えるなどして選択肢を拡大させていくという。Nutthon氏は今後の見通しについて、「3年以内には13万台以上がG-BOOKにつながるようになるだろう」と説明した。
◆日本語サポートもスタート
smart G-BOOKのコールセンターはトヨタの関連会社であるDMAP(Digital Media Asia Pacific)が運用している。DMAPのプレジデント、山屋謙二郎氏は「当社はトヨタメディアサービスのASEAN地域拠点として、e-CRBやsmart G-BOOKといったITシステムの開発・運用・サポートをおこなっている。ここバンコクのオフィスではsmart G-BOOKのコールセンターを置き、日本語対応のスタッフも揃えてサービスに当たっている」と説明。
顧客情報を扱う関係でコールセンターのセキュリティは厳重になっており、執務エリアとは隔離されたガラス張りのクローズドルームには入り口に顔認証装置が置かれていた。
山屋氏によれば、「smart G-BOOKコールセンターはこれまでタイ語と英語で24時間体制でサポートに当たっているが、新たに対応した日本語は当面平日の8時から17時の運用だ。サービス開始からの平均で1日44回のコールインがある」という。コールがない時間帯はsmart G-BOOKのデータベースにはないPOIの入力作業をおこなうなど、手持ちぶさたにならないような工夫が凝らされている。