『デリカD:5』は2007年1月に発売され、大きめミニバンとして一定の支持を得てきた。一方でユーザーから望まれていたのはディーゼル車である。

デリカはスターワゴンの時代からSUV的な性格を備えたミニバンとして人気を集めていて、多くの乗員や荷物とともに距離を走るタイプのユーザーが多かった。なので、昔からディーゼル車ニーズの高いクルマである。

ディーゼル車の排気ガス規制が強化され、しばらくはデリカD:5のラインナップからディーゼル車を外さざるを得なかったが、2012年12月にユーザー待望のクリーンディーゼルが改めて追加された。

最新規制に対応して追加されたクリーンディーゼル搭載車も、デリカD:5の持つミニバンの優しさとSUVの力強さといった特徴を併せ持つのは変わらない。

前後輪に最適な駆動力を配分する電子制御4WDを始め、ラフロードでも優れた走破性を発揮する最低地上高や対地障害角、多彩なシートアレンジと豊富な収納スペースなどは基本性能としてしっかり備えられている。

運転席に乗り込んでシートベルトを締め、イグニッションを回すと、振動を伴ってエンジンが始動する。同時にアイドリング音も聞こえてきて、ディーゼル車であることがはっきりと分かる。

搭載エンジンは、直列4気筒2.3リッターのコモンレール直噴インタークーラー付きターボ仕様のDOHC。最近のクリーンディーゼルに求められるスペックを一通り備え、109kW/380N・mの動力性能を発生する。

発進はディーゼル車らしいゆったりした感じでクルマが動き出していく。低速域では振動や騒音がはっきりと聞こえるから、ディーゼル車を走らせていることを意識しながらの走りになる。

エンジンの吹き上がりも同様に、ディーゼル車であることを感じさせるのだが、走り出してしまえば、低速域からトルク感のある走りを実現し、ディーゼル車であることの良さが感じられるようになる。

アクセルを踏み込んだときのレスポンスなどは特に優れた印象ではなく、むしろひと昔前の古典的なディーゼルをイメージさせる。でも、デリカD:5はそんなにせかせかと走るタイプのクルマではないから、レスポンスの鈍さなどはさして問題にならない。

高速クルージングに入ると、時速80kmで1600回転、100kmでも1800回転くらいで回っている。エンジン音も抑えられて快適なドライブが可能である。クルージング状態ではエンジンのバランスが良くなるのか、振動や騒音が抑えられてさして気にならなくなるから不思議な感じである。

設定されるグレードはGパワーパッケージとGプレミアムの2グレード。それぞれ微妙な違いはあるが、ガソリン車に対して32万~33万円ほど高い。同時に、エコカー減税が免税になってクリーンディーゼル補助金が15万円ほど受けられるので実質的な価格差は小さくなる。

動力性能やドライバビリティでは各社の最新のクリーンディーゼルには及ばないものの、デリカD:5の持つ機能や走破性と合わせてクリーンディーゼルのトルクや燃費が欲しい人には十分にお勧めできるし、そうしたユーザーにとって待望のモデルであるのは間違いない。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。 《松下宏》