【福祉車両レポート】実車を比べて初めて分かる福祉車両の使い勝手

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ノア サイドリフトアップシート車。モデルは自動車ジャーナリストの丸茂亜希子さん
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  • トヨタ ポルテ 助手席リフトアップシート車
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  • トヨタ ポルテ 助手席リフトアップシート車
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助手席回転スライドシート車や助手席リフトアップシート車、車いす仕様車などの9つのタイプ、69種類の福祉車両「ウェルキャブシリーズ」をラインナップするトヨタ。

同社グループの「トヨタハートフルプラザ」(全国9か所)では、福祉車両の常設展示場をかまえ、さまざまなニーズに応える体制をとっている。販売店チャネルに関係なく、多様なウェルキャブを展示して、実際の使い勝手や機能を確かめてもらうことを狙いとしている。ここではウェルキャブの説明員はいるが、営業スタッフはおらず、商談はそれぞれのディーラーでおこなうことになる。

トヨタの純正カスタマイズショップである「モデリスタ東京」と併設される「トヨタハートフルプラザ東京(東京都杉並区)」では、取材時(10月中旬)に2階の屋内展示場に15台ほどのウェルキャブが展示されており、屋外にも展示車が置いてあった。

前回の記事でも取り上げた『ラクティス』『スペイド』とともに、個人ユースに人気のウェルキャブがスペイドの姉妹車でもある『ポルテ』とミドルクラスミニバンの『ノア』だ。

ポルテは専用の車いすが付属する「助手席リフトアップシート車」、ノアは「サイドリフトアップシート車」。およそ100万円の価格差(ポルテは200万円前後、ノアは300万円前後)があり、コンパクトカーとミニバンとサイズも異なるが、チーフエキスパートの川合友継氏は、「福祉車両は、ベース車のイメージだけだとわからない部分が多くある。見て触れて体感してみて、介護する人もされる人もいっしょに最適なクルマを選んでほしい」と話す。

◆実車に乗って触れてみてわかること

ポルテ 助手席リフトアップシート車&手動車いす用収納装置(電動式)ワイヤレスリモコンは、リモコンスイッチまたは助手席シート下にある昇降スイッチを押し続けると、助手席が電動で車外へ大きくスライドダウン(アップ)するタイプで、パワーウィンドウを昇降させるのと同じような感覚で、座席を路面近くまで近づけることができる。

また、車いすを後席のうしろのラゲージスペースに収納する場合に重宝する電動クレーン「手動車いす用収納装置(電動式)」が装備されている。自重30kgまでの車いすに対応し、介護する人の車いす積み降ろしをサポートするというものだ。

いっぽうのノア サイドリフトアップシート車は、前出のポルテと同様にシートが車外へ大きくスライドするものだが、こちらは助手席側のセカンドシート(2列目席)が回転・昇降するタイプ。床面がポルテよりも若干高いためノアは、着座位置も高いため電動回転リフトアップシートの移動距離も長い。

「ノアは、車体自体が大きいので、やはり大人数での移動が必要とされる方にオススメしています。リフトアップシートがあると、シート後方の足下スペースが若干狭くなるため、それが許容範囲かどうかを確かめていただく必要があります。このような実際の使い勝手は、カタログを見ただけでもわかりにくく、複数台で比較することで初めて最適なウェルキャブ選びができると思います」とハートフルプラザの存在意義を説明する。

実際にノアとポルテを比較してみると、左側に前ヒンジ・後スライド式のドアをもつノアの方がポルテよりも開口部が狭いことに気づく。左側がスライドドア1枚のポルテは、車体サイズ自体は小さいが、乗り込むときに若干の余裕を感じる。こうした部分の使い勝手は確かに実際に比較してみないと分からない部分だ。

◆家族で訪れることもできる気配りも

ベース車両のサイズなどだけではわからない部分を、「ぜひ来店していただいて確かめてほしい」と川合氏。「トヨタハートフルプラザは、実際にリフトアップを体感してみて、ひざが当たってしまったり、足を曲げて乗り込む必要があるなど、細かく確認する場になる。いっぽうで介護する人にも、本当にこのクルマでしっかりと介助できるのかどうか、負担は軽減されるか、車いす収納装置は必要か、そして予算と合致するかどうかなど、いろいろ検討する場になっているようです」とも話していた。

施設内には、キッズスペースなども用意されているほか、時期によっては週末に展示会が開催され、さまざまなデモンストレーションや軽食のサービスなどが用意されることもある。ハンディを持った方やお年寄りのいるファミリーが子連れで訪れても、子どもを退屈させずにじっくりウェルキャブを試せる工夫がなされているというわけだ。

《レスポンス編集部》

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