北欧の通信キャリアでモバイル通信キャリアの世界シェア第5位のテレノール・コネクション(Telenor Connexion)がスウェーデン大使館で会見を開き、M2M(Machine to Machine)分野での日本市場参入を表明した。またアジア圏を含むビジネスの見通しについても説明した。
◆グローバルにM2Mソリューションを展開
テレノールグループは、3億を超える通信契約数を持つ世界有数のモバイル通信キャリアだ。特徴は世界中に自社のネットワークを構築しているだけでなく、ローカルでは多数のローミングパートナーを持ち、世界でM2Mソリューションを提供している。
会見にはテレノール・コネクションのフレデリック・リジェストロム(Frederic Liljestrom)副社長が登壇。「日本国内ではNTTドコモなどの国内キャリアがM2Mサービスを提供しているが、当社ほどの世界のカバレッジを持つのは他にはない」と語る。
同社は、その通信ネットワークカバレッジを活用し、国ごとに様々なオペレーター(キャリア)が存在する欧州において自動車分野で強みを発揮している。ボルボが2000年に開始したセキュリティ通報サービス「ボルボ・オン・コール」や2006年にスタートしたダイムラー向けの業務用テレマティクス「フリートボード(FleetBoard)」などにM2Mソリューションを提供している。また最近では、日産の電気自動車『リーフ』向けのテレマティクスで日本・米国以外の市場においてM2Mサービスを提供している。
◆M2Mの開発コストと運用コストを低減
同社ではこのほか、スマートメーター(Fortum)や健康機器(オムロン)、さらには建設機器(日立建機)、PND(TomTom)などにもサービスを提供。「当社は顧客のニーズに合わせて柔軟にカスタマイズできるソリューションを提供するのが強み。GSM(2G)からW-CDMA(3G)、さらにはLTE(4G)と、対応するネットワークも価格や将来性を鑑みて設計できる」(リジェストロム副社長)という。
日本市場の見通しとしては、欧州に比べてM2Mのマーケット規模では立ち後れているものの、2012年後半から2013年にかけて急速に伸びていくと予想しており、日本国内での人材登用にも力を入れていくという。「日本の企業は自社でM2Mのシステムを構築しているところも多いが、当社のような標準化されたプラットフォームの存在が広く知られていないということもその要因のひとつだろう」(リジェストロム副社長)と同社のビジネスの浸透を図っていく考えを示した。
◆あらゆる分野の企業が潜在顧客
副社長は、「当社では開発者向けに「eCAF」と呼ぶPaaS(Platform as a Service)を提供しており、このeCAFを使えば通信に関する専門的な知識がなくても実装が容易になる。こうしたプラットフォームを利用することで開発工数を減らすことができ、グローバルにワイヤレスのコネクティビティを保証しながら運用コストを低減できる」とアピール。
リジェストロム副社長は、「当社が狙う潜在顧客はあらゆる分野にいる。実績と柔軟性を武器に、当社の強みを幅広く周知していきたい」と意気込む。同社では運用者向けにサービスポータルとAPIを提供しており、OEMとして外部のアプリケーションに組み込むこともでき、スマートフォン向けの管理画面もつい先頃ローンチしたばかり。日本企業はアジア圏においても広くビジネスを展開しており、そうしたマーケットも巻き取っていくことも狙うという。