安近短志向で「プチバン」需要高まる…スライドドア採用のコンパクトカー

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イードは、ホンダ『N BOX』やスズキ『ソリオ』など、「ミニバンの要素であるスライドドア採用のコンパクトカー」カテゴリーを“プチバン”と位置づけ、プチバンに該当する車両の人気について調査、結果を発表した。

スズキが2012年3月期の連結決算増益の要因にソリオの好調を挙げ、N BOXが軽自動車販売の2012年4月車名別ランキングでホンダ車として初のトップを獲得するなど、スライドドア採用のコンパクトカーが好調を維持している。

このカテゴリは、トヨタ『ラウム』が1997年に開拓し、2004年のトヨタ『ポルテ』や、2007年にスライドドア化されたダイハツ『タント』等の軽自動車が相次いで投入されたことにより、市場が拡大。さらに近年はホンダ『フリードスパイク』やN BOX、ソリオ等、各メーカーが相次いで新型車を投入している。

イードではプチバン購入意向者とミニバン・ワンボックス購入意向者を比較対象として、「プチバン人気の理由」について調査した。

車の免許を保有している20~60代既婚者を対象に計7万9412名から乗用車についての市場調査を実施。そのうち3年以内に新車でミニバン・ワンボックス/スライドドアを持つ背の高いコンパクトカーのいずれかを購入検討している人2148名(20代401名、30代前半437名、30代後半445名、40代433名、50~60代432名)を対象に調査を実施した。調査期間は2012年4月25日~5月6日。

■購入検討者は若年ファミリーが中心

まず、プチバン検討者の年代構成をみてみると、20代12%、30代前半29%、30代後半24%、40代22%、50~60代13%と、若年ファミリー層が中心となっている。

プチバン検討者の「次に購入する車を選ぶきっかけ」も、「子供が生まれる(生まれた)」が22%で最も高く、20代で34%、30代前半で43%だった。

■コンパクトカーとミニバンのいいとこ取りを求める

購入検討者はコンパクトカーの利点である「維持費の安さや扱いやすさ」と、ミニバンの利点である「乗り降りのしやすさや室内の広さ」の両立を重視する傾向にある。

購入する車に期待することとして、プチバン検討者は「燃費がよい車」75%、「税金や車検が安い車」72%といった維持費の安さや、「取り回しや駐車が楽な車」65%、「日常での用途に使いやすい車」65%といった扱いやすさ等、コンパクトカーの手軽さを重視する傾向がみられた。

一方で、「乗り降りがしやすい車」62%や、「室内が広くゆったりとくつろげる車」49%等といったミニバンの利点も同様に重視している。

プチバン検討者からは「できるだけ車体は小さくて運転初心者でも運転しやすい。でもそのわりには車内が広くて座った時に足を伸ばして座れる車があると理想。(20代女性)」、「使いやすくて、乗り心地が良くて、物がたくさん載って、景色が見やすくて、便利な機能が沢山ついているのがいい。(30代女性)、といった意見も挙がっており、「コンパクトカー」と「ミニバンのいいとこ取り」を求めている。

「次に購入する車を検討するときに重視すること」として、プチバン検討者の77%が「スライドドアであること」を重視している。その理由は、「ドアの開け閉めの際に隣の車に当たらないよう気を使わないでよい」67%、「乗り降りが楽」61%、「荷物を持っての乗り降りがしやすい」47%等となっている。

■プチバンは日常生活密着型、ミニバン・ワンボックスは非日常の快適性を提供

次に購入する車に期待することを、ミニバン・ワンボックス検討者と比較すると、プチバン検討者は、日常での手軽な「使いやすさ」を期待している人が多く見られるのに対し、ミニバン・ワンボックス検討者は「長距離でも快適に過ごせる」65%や、「多くの荷物を積める」57%、「多人数が乗れる車」51%、「レジャーに適した車」50%等の意向が強く、非日常の快適性を重視する傾向が高いことがわかった。

アンケートの結果から、プチバン人気の秘密は「日常の身近なシーンでの使いやすさ」にあることがわかった。

プチバンを次期購入車として検討している人たちの傾向として、身近なシーンでの「取り回しや駐車が楽な車」、「日常での買い物などの用途に使いやすい車」等を重視する傾向がある中、「ミニバン」の使い勝手のよさと、「コンパクトカー」の手軽さを両立しているプチバンが受け入れられている。

少子化によるファミリー層の多人数乗車ニーズの減少や、長引く不況による「コストパフォーマンス意識(よりよいものを安く手に入れたい)」や「安近短志向(近場で安く遊びたい)」の高まりといった時代潮流の影響も伺える。

《レスポンス編集部》

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