三菱が以前うたっていた“いいものながく”という企業スローガンは、ジュネーブショー12に出品した新型『アウトランダー』にも息づいている。
デザイン本部東京デザインスタジオの松岡亮介さんは、「洋服でもそうですが、奇をてらったアヴァンギャルドな服ではなく、比較的仕立ての良いきちんとしたジャケットを羽織っているような感じ、そして、それが似合うようなクルマにしたい」という想いでデザインした。
弟分である『RVR』は、「もうちょっとやんちゃで、ロックやテクノでも聴きながら、友人と騒ぎながらドライブに行くイメージです(松井さんはRVRのデザインも担当)。そして、新型アウトランダーは夜の街をジャズでも聴きながら走ってもいい。大人の男性にかっこよく乗ってもらいたいというイメージなのです」。
松岡さんは、実は自分が欲しいクルマをデザインしたと笑う。「自分は小さい子供が1人の3人家族。ちょうど次に欲しいサイズとデザインの方向性を素直に形にしました」。
そして、「従来型アウトランダーが持っていた、きびきびとした感じやスポーティさを、少し抑えた理由は、自分たちの世代では、あまり頑張りすぎているクルマはちょっと格好良くないと感じているからです」とする。
「少し幅を持たせるというか、ゆるさというか、そういったものを入れたかったのです。線の水平基調にしても落ち着いた感じです。ヘッドライトも切れ上がって怒ったような顔ではなく、誰にでも好まれる、受け入れられやすいデザインにしました」
松岡さんは、「頑張っているデザインのクルマを見ると、格好いいと感じつつも、自分で買って乗るのはちょっと恥ずかしいかな、というのが私の素直な気持ちです。三菱車を買うユーザーは道具としてうことも多いので、機能的だね、長く乗れるねという、そこがキーだと思うのです」と自身のイメージを語った。