【VW パサート 試乗】華やかさには欠けるが理性で選ぶクルマ…松下宏

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フォルクスワーゲン・パサート
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2011年に日本に導入された7代目『パサート』はいかにもフォルクスワーゲンらしいクルマだ。すっきりした感じのシンプルでクリーンな外観デザインや機能性を追求したインテリアなどがフォルクスワーゲンらしさを感じさせる。

これは面白さに欠けるということでもあるのだが、多くの人に受け入れられやすいデザインであり、このデザインを強く嫌う人はいないのではないか。

ボディはフォルクスワーゲンの上級セダンにふさわしく堂々としたサイズである。基本的にこれまでのモデルと同じ大きさで、その意味でビッグマイナーともいえるモデルチェンジだが、むやみにボディを大きくしなかったのは歓迎していい。

搭載エンジンは1.4リットル直噴ターボのTSIで、7速のDSGと組み合わされている。

すでに『シャラン』に1.4リットルのTSI+DGSが搭載されているので改めて驚くことにはならないが、シャランはターボ+スーパーチャージャー仕様だったのに対し、ボディの軽いパサート用はターボのみ。動力性能はシャランよりも控えめな90kW/200Nmという数値にとどまっている。

この数値を見るとさすがにこれで大丈夫かと少し心配にさせられる。でも実際に走り出してみると、これがけっこう良く走る。パワーを生かした豪快な走りというわけにはいかないものの、上級セダンにふさわしい滑らかで必要十分な加速フィールを味わわせてくれる。

特に低速域でのトルク感に不足はないし、7速DSGの変速フィールも不満のないレベルに仕上がっている。しかも燃費は18.4km/Lという超の付くレベルの低燃費だ。上級車のパサートがゴルフの上を行く低燃費なのだから驚かされる。

室内空間は広いのひと言だ。たっぷりしたサイズのシートが用意される前席や、足元にゆったりした空間がある後席の居住空間はもちろんのこと、セダンのトランク容量もヴァリアントのラゲッジスペースも十分な広さがある。特にヴァリアントのフラットで広大な空間は本気でワゴンを使うユーザーから大歓迎されるだろう。

装備はドライバーの疲労を検知するシステムやリヤビューカメラなど新しい安全装備が加わった。カーナビはオプション設定だが、それ以外の必要な快適装備は標準で用意されている。

それでいてびっくりモノの低価格が設定されている。「セダン・コンフォートライン」の324万円から「ヴァリアント・ハイライン」の396万円という価格は同クラスの競合輸入車に対して際立って安めの設定だ。ビッグマイナーであることや1.4リットルエンジンを搭載することを考えても相当な買い得感がある。

強いて難点を上げるなら華やかさに欠けること。それがドイツ車らしい点でもあるのだが、パッと飛びつきたくなるような魅力はない。広さや燃費や価格などを考えて理性で選ぶクルマである。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

《松下宏》

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