【パイクスピーク11】モンスター田嶋、10分切り優勝「トラブルなければあと5秒」

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トラブルに見舞われながらも10分の壁を超え優勝したモンスターこと田嶋伸博選手
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  • リース・ミレン(ヒュンダイ)
  • 塙郁夫(EV)

6月26日、コロラド州パイクスピークで、「第89回パイクスピークインターナショナルヒルクライム」の決勝が行われた。レースは156のターンを抜けながら、ロッキー山脈に連なる標高パイクスピークの山道2862mから4300mまでの区間を一気に駆け上がり、そのタイムを競うというもの。今年はレースウィークを通じ快晴に恵まれ、また昨年までグラベルだったアッパーセクションが舗装されるなどコース改修が行われている。

決勝当日は、朝から山頂付近で強い風が吹いていたものの、天候もコースコンディションも安定し、アベレージスピードのアップも確実視される絶好のコンディションの中、クラス毎に1台ずつのタイムトライアルレースがスタートした。定刻午前9時、エキジビションクラスの2台に続き、EVクラスの日産『リーフ』に乗るチャド・ホート、そして塙郁夫が山登りに挑み、塙選手の「サミットHer-02」が、12分20秒084で自身が持つ記録を塗り替え昨年に続きクラス優勝をはたした。

注目のモンスターこと、田嶋伸博がエントリーするアンリミテッドクラスは4輪の最終組での走行が予定されていた。パイクスピークのルールでは予選総合トップのドライバーは決勝日全体での自身の出走順を選ぶことができる。田嶋は路面が荒れるオープンホイールクラスの前、タイムアタックの2WD、4WDの次を選択。そして途中赤旗中断を挟みながら、午後1時過ぎアンリミテッドクラスの順番が巡ってきた。クラスの先陣を切ってコースイン。田嶋の駆るスズキ『SX4』は序盤から快調に山を駆け上り、グレンコーブ迄のタイムは、自身が持つコースレコードを計測した昨年のものを上回っていた。

悲願の10分の壁超えへの期待も確信へと変わろうしていたその時、アクシデントが発生した。ゴールまでターンをあと2つ残すのみとなった「Cog Gut」手前で、ファンベルトが切れ、ウォーターポンプも停止してしまったのだ。みるみる水温は上昇し、パワステが効かなくなっていたという。マシンをねじ伏せるようにステアリングを切り、ゴールラインを目指した田嶋のマシンは、完全にオーバーヒートの状態でチェッカードフラッグ。読み上げられたタイムは昨年までのコースレコード10分01秒408を10秒以上も上回る9分51秒278。モンスター田嶋はあっさりと10分の壁を越え、総合優勝で6連覇(7勝目)を達成した。

モンスターの6連覇阻止とコースレコード樹立に意欲を燃やすリース・ミレン(ヒュンダイ「RMR PM580」)はコース後半でブレーキトラブルに見舞われ10分09秒242で2位。日産『GT-R』のエンジンを搭載したダチア『ダスター』でパイクスに初参戦したジャン・フィリップ・デイローが10分17秒707で3位となった。

走り終えたマシンが山頂に続々と集まり、最終マシンがチェッカーを受けたのは午後4時過ぎ。自走が出来なくなったマシンを積載車に搭載し自身も荷台にのぼった最速の60歳は、駆け上ってきた山道を、沿道の観客から大きな歓声と祝福のハイタッチを受けながらのパレードランで、ゆっくりと下っていった。

モンスター田嶋コメント;「本当に幸せです。エンジニアが頑張ってクルマを造ってくれ、メカニックが一生懸命メンテしてくれました。タイヤやサスペンションなど、メーカーの沢山の人たちも、僕が求める無理難題を根気強く聞いてくれて、僕が望んだクルマが出来上がった事が今回の成功に繋がったのだと思います。心から感謝しています。最後は、パワステが効かなくなり本当にキツかったです。温度も150度以上まで上がりましたが、何とか走りきることができました。ノートラブルならあと5秒は縮められたと思います」

「毎年、フィニッシュラインを越えた瞬間に、自分のスキルやクルマのセッティング、チューニングといったスペックなどについて、『来年はこうしよう』という思いが浮かびます。そうして毎年、一年一年やってきたことの積み重ねが今回の成果だと思います。来年はコース全てがアスファルト舗装になります。私は今自分が乗っているクルマがグラベルでは世界最速だと思っていますが、アスファルトに合わせた新しい仕様のクルマが必要になるということです。これから一杯の美味しいお酒を頂きながら、皆で話し合って考えてゆきたいと思います」

《ケニー中嶋》

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