気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。
2011年5月19日付
●震災失業10万人、岩手・宮城・福島(読売・1面)
●ルネサス、出荷5割以下、6〜7供給不足、10月まで(読売・8面)
●夏のボーナス、2年連続増加、経団連調査(読売・8面)
●充電1回333キロ走行、EVベンチャーが開発(読売・8面)
●発送電分離を検討、首相保安院独立にも言及(朝日・1面)
●燃費競争ますます、マツダ、エンジン改良(朝日・9面)
●GM、日本でEV公開(朝日・9面)
●日航、最高益1884億円、3月期、社長「合理化の成果」(東京・7面)
●スイカもパスモも全国で、JR大手、私鉄、13年春スタート合意(東京・7面)
●JR西「電池電車」実用化へ、研究班発足、来年度にも試験車両(日経・11面)
ひとくちコメント
自動車業界で最大の懸案となっている半導体部品の「マイコン」だが、その4割のシェアをもつルネサスエレクトロニクスの赤尾泰社長が「6月には在庫が尽きて供給はドンと落ち込み、10月末までには震災前の水準に戻すようにしたい」と、決算発表の席で今後の見通しを示したという。
きょうの各紙が「ルネサス赤字1150億円」(日経)とともに、「ルネサス、出荷5割以下、供給不足10月まで」(読売)をはじめ、「半導体供給難に、自動車生産に影響」(朝日)、「マイコン不足6月以降」(産経)などと、自動車や家電向けの半導体の供給不足が6月以降、一段と深刻化すると報じている。
赤尾社長の見通しを額面通りに受け止めれば、先般、トヨタ自動車が「6月から国内外で生産水準を7割に回復させる」という計画に早くも狂いが生じる恐れもある。トヨタは「7割回復」の前提としては、調達に支障のある部品が4月の時点で150品目から30品目まで減少し、部品の安定調達に一定のメドが付いたためとしていた。その残りの30品目には「マイコン」も含まれており、しばらく「在庫切れ」状態が続くことになれば、先行きは楽観できそうにない。
ただ、赤尾社長が「海外への委託生産の拡大や国内の別工場での代替生産を進め、10月末までに震災前の供給量を回復させる計画を示した」(毎日)という発言は重い。ルネサスは震災によるサプライチェーン(部品供給網)寸断の象徴となっていたが、それで、電力不足が懸念される夏場は綱渡りの“輪番休日”を実施してしのぎ、秋以降は一気に増産体制に移行するというシナリオが見えてきた。