【東日本大震災】ボランティア参加ルポ…行き過ぎた平等

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宮城県岩沼市では仮説住宅の建設が急ピッチではじまっていた
  • 宮城県岩沼市では仮説住宅の建設が急ピッチではじまっていた
  • 宮城県岩沼市では仮説住宅の建設が急ピッチではじまっていた
  • 自衛隊が常駐して炊き出しなどをおこなっている避難所もある

3日目の活動も、2日目同様にアセスメント活動を行うボランティアスタッフの移動車両ドライバーだ。この日は、仙台市から1時間もかからない名取市と岩沼市に向かった。

仙台市内は、朝夕の渋滞が激しい。郊外に向かう道は昼間の渋滞も、普段よりも増えている。その大きな理由が、現地で「ボランティア渋滞」と呼ばれる応援部隊やボランティアの通行によるトラフィック増加だ。比較的ダメージが少なく日常が回復しつつある仙台を拠点とし、復興のために全国から人が集まっているのである。

仙台空港周辺に広がる名取市や岩沼市は、津波被害の大きかった場所である。海岸から約2kmの位置を南北に走る仙台東部有料道路よりも海側の地域は壊滅的で、目を覆いたくなるような光景が広がっていた。

避難所をまわって感じたのは、「行き過ぎた平等」が大勢の人たちに弊害を与えていることだ。いくつかの自治体は、全員に平等に行き渡らない支援物資は配給できないという。たとえば120人いる避難所では、手元に100個のカップラーメンがありそれを欲しがっている人が避難所にいても、1個も配布できないというのだ。受け取れなかった人からのクレームを怖がっているのである。

ある避難所では「特定の人のニーズを聞いてそれをかなえると不平等だから、個人に困りごとを聞かないでくれ」と管理者である役人から言われた。しかし、今は常時ではない。助けられる人から助けていくべきだろう。外部の人間として客観的に、この行き過ぎた平等信仰は人々を不幸にしているように見える。

岩沼市では、仮設住宅の建設が急ピッチで進められていた。少しでも早く、避難している人たちが日常をとり戻すことを願わすにはいられない。

《工藤貴宏》

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