7日、都内で2011年シーズンの全体発表会を実施した「全日本選手権フォーミュラ・ニッポン」(Fニッポン)は、あわせて2012年シーズンから全参戦マシンに搭載される予定の“新システム”についての概要も発表した。
「System-E」(仮称)と呼ばれるそれは、「バッテリーをエネルギー供給源として、ギヤボックスに装着されたモーターを駆動することにより、追い抜き時やコーナー脱出時にさらなるパフォーマンス(パワー)を引き出す」ことが狙いのシステム。と同時に「燃料消費量の削減も目指す」ということで、つまりレースの面白さを増すことを主眼に、環境・エネルギー面にも貢献できる内容のシステムとして開発が進められているのだ。
また、バッテリー開発に関しては自由競争を認める方針で、シリーズ運営団体JRPの白井裕社長は「バッテリーは日本の得意分野。自由競争にすることで(専門メーカー等の)名前が出るのもいいことだと考えている」と話す。“Fニッポン発”の技術提案となる新システム。元はホンダのレースマシン開発者であった白井氏がJRP社長に就任して一年、いよいよ“カラー”が具体的に出始めたか?
ちなみに、3年を周期とするFニッポンのシャシーに関しては、予定どおりなら来季、2012年が“一新の年”となるのだが、発表会後の記者団との談話のなかで、白井社長は“昨今の経済情勢を踏まえると、難しいだろう”との非公式な見解を示唆。おそらくは現行の米国スウィフト社製「FN09」シャシーの継続使用となるのだろうが、手をこまねいているばかりではなく、実現可能な範囲の新機軸(System-E)を盛り込んできた格好だ。
また白井社長は2012年シンガポール大会に関して、「(基本的に)シリーズ戦として開催する方向で考えている」とし、SGC社の村橋郁徳会長同様、「永続的な開催を目指す」旨も話している。さらにシンガポール以外の海外開催も中長期的構想にはあるようだが、その場合に懸念されるのは“全日本選手権”の看板で、SUPER GTシリーズが全日本GT選手権(〜2004年)から改名した理由のひとつが海外開催の自由度を求めてのことであったのは、レースファンの記憶に新しいところ。
白井社長はこれも非公式見解ながら、“必要なら(FIAやJAFに)ルールを変えてもらうなどしたい”旨を話している。古い規則がスポーツの健全な発展を妨げるようなことがないよう柔軟に、という意だ。この日の会見にはJAFの樋山良毅モータースポーツ部長も同席しており、シンガポール大会に関して「両国交流の架け橋であり、日本のモータースポーツをさらに発展させる機会でもある」と賞賛。「JAFも全力で支援していく」と語っており、ここは“官民一体”となっての成長戦略が期待できそう。まずは来季シンガポール戦の成功へ、関係各者の好連携を期待したい。
新システムにシンガポール開催と、2012年の話題ばかりが先行してしまった感もある今季発表会ではあったが、2011年も、もちろんFニッポンならではの「ハイレベルな接戦」となることは必定。まずは4月17日決勝の開幕鈴鹿ラウンドに注目が集まる。