シートベルトが黄色いというだけで、人はどうしてこんなに興奮するんだろう。いや、グラマラスなボディラインを見た段階から、脈拍は2割くらい早くなっているんだけれど。
モータースポーツのノウハウを取り入れ、と聞くと、どれだけ乗り心地が硬いんだろうと想像するけれど、そこはフランス車。細かい路面状況はタイヤを通して感じられるのに、コツコツンとは響かない。
全体をじわりと包み込むサスペンションの奥深さ、フトコロの深さに自然と口元がゆるんでくる。コーナリングもしなやかで、でも、ここぞという部分では見事なふんばり。運転がうまくなくても、コントロールしている感が味わえちゃうところが、本物のスポーツカーというところかも。
横滑り防止装置の感度を3段階に変えられるのもエライけれど、はっきり言ってそこまで使い切るのは素人にはむずかしい。その代わり、アクセルペダルを踏む量は同じなのに、アクセル開度を5段階に切り替えられる機能は誰でもちょっとした感動を味わえる。
一番トップのエクストリームにしておくと、アクセルをちょこんと踏んだだけで、背中からぐいぐい押される加速感。クルマってこんなに楽しかったっけ? 運転は楽しい。初心に戻れるクルマである。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/エッセイスト
女性誌や一般誌を中心に活動。イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に精力的に取材中するほか、最近はノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。JAF理事。チャイルドシート指導員。国土交通省 安全基準検討会検討員他、委員を兼任。