パシフィコ横浜で5月19日から始まった自動車技術展「人とクルマのテクノロジー展2010」において、もっとも目についた技術のひとつが二次電池だった。といってもパナソニックやGSユアサなど、おなじみの顔ぶれはない。会場でテクノロジーをアピールしていたのは、それ以外の会社だった。日立グループの日立ビークルエナジーもそのひとつである。
企画部事業企画グループの柴田博之主任技師は、「当社のリチウムイオン電池はいすゞや三菱ふそう、インバーターはメルセデス・ベンツやBMWに採用例があります。その技術力を生かして今回、ハイブリッド乗用車用リチウムイオン電池を出展しました」と参入の決意を語った。
一方東芝では、ホンダの電動スクーター『EV-neo』への採用が発表されたばかりの高性能リチウムイオン電池「SCiB」をブースの主役に据え、一般家庭や自動車への親和性の高さをアピールしていた。
太陽電池の展示も多かった。こちらもシャープや三洋電機といった名前は見当たらず、会場で目立っていたのは化学系企業だった。三菱ケミカルホールディングスグループでは、多彩な樹脂素材とともに有機薄膜太陽電池をプロトタイプに搭載。住友ベークライトや東レも同様のディスプレイを行っていた。
三菱ケミカルホールディングスグループの三菱化学・自動車関連事業推進センター・マーケティング部の社本剛課長代理は、「薄膜電池は発電量が少ないので走行用は難しいですが、エアコン用には使用可能です。大型トラックのパネル上面などへの採用を考えています」と語り、リチウムイオン電池とは異なる分野での展開を提案した。
さらに同氏は、断熱性の高い樹脂素材がエアコンの電力消費を抑え、電気自動車の性能を向上させることにも言及。金属中心だった自動車作りに変化が訪れる可能性があることも示唆していた。