三栄書房刊行の隔月刊自動車デザイン専門誌『CAR STYLING』(カースタイリング)が、4月19日発売の通巻196号(2010年5月号)をもって休刊することになった。
『CAR STYLING』は1973年に創刊、世界唯一の和英両文カーデザイン専門誌だ。世界の自動車メーカー、デザイン学校やデザイナーから評価されてきたが、このほど休刊が決定された。
編集にあたるカースタイリング出版の藤本彰代表取締役は、最近のデザイン業界と同誌の動向について、次のように分析する。
「バブル経済の崩壊で企業は新卒デザイナーの採用をあきらめ、学生たちも自動車から離れた。カーデザイナーを職業として選ぶ若者は少なくなり、自動車雑誌がコンピューター関連の図書に取って代わられた。インターネットの情報速度に太刀打ちできない印刷媒体は、そのハンディに打ち勝つ付加価値を備えなければならなかった。広告依存度はさほど高くない『CAR STYLING』だが、リーマンショックは赤字財政を促進した」
「自動車は省資源・省エネ・環境保全といった社会問題が浮き彫りされてきた。だからこそデザインはこれまで以上に大切だ。低炭素社会で持続可能な乗り物はどのようなものか? まだ模範解答は提出されていない」