【メルセデスベンツ SLS AMG 試乗】到達点であり出発点…西川淳

試乗記 輸入車
SLS AMG
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蘇ったガルウィングスポーツカー。誰がどう見てもこの新型スーパーカーは、あの名車のオマージュに見えるし、リバイバルに映ることだろう。それだけメルセデスベンツというブランドが、ものすごい栄光の過去を背負っているということでもある。

『300SL』ガルウィングは、確かに名車中の名車だ。戦後スポーツカーの、ひとつの頂点でもある。何度かハンドルを握ったこともあるが、半世紀以上も前にあれほどのクルマを作っていたベンツというメーカーは一体何なんだ!と思ったほど。こりゃ敵わんのも当たり前か、と。

ただ気をつけなければならないのは、300SLという名車を過去の点として捉えてしまっては、今、このご時世に現れたベンツのスーパーカーSLS AMGの本質を見誤るということ。2台のスポーツカーの間には、連綿と続くメルセデスの、否、自動車の進化が横たわっている。これは到達点であり、そしてまた出発点でもあった。それが証拠に、SLS AMGのEV版の開発も順調に進んでいるという。

とにかく奇をてらわない大型のFRスポーツカーである。エンジンフードを開けると、信じられないくらい低い位置に、そしてもちろんフロントミッドにきっちりと置かれたV8エンジンに感動する。もうそれだけで“いいな”と思えてしまう。過敏なハンドリングやキレのいいシャシーなど、想像以上に“メルセデスしていない” ダイナミック性能も◎。もちろん、乗り手は“ベンツに乗る”と思って操るから、精神的にはものすごく安心して、いきなりアクセルペダルを踏み込むことだってできる。その裏腹な楽しさが、他にはない魅力かも。

ガルウィングドアの威力も絶大だった。どこで停めても絵になって、回りの人々をでっかい笑顔にした。クルマにはそういう役割だってあるのだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

西川淳|自動車ライター/編集者
産業から経済、歴史、文化、工学まで俯瞰して自動車を眺めることを理想とする。高額車、スポーツカー、輸入車、クラシックカーといった趣味の領域が得意。中古車事情にも通じる。永遠のスーパーカー少年。自動車における趣味と実用の建設的な分離と両立が最近のテーマ。精密機械工学部出身。

《西川淳》

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