【MAPPLEnavi2 登場】「ハードの良さを引き出す存在に」…キャンバスマップル社長

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キャンバスマップル 山本社長インタビュー
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昭文社の子会社であるキャンバスマップルが開発するPND向けアプリケーション「MAPPLEnavi」。

昨年夏の登場以来、採用メーカーは着実に拡大しており、その進化版である「MAPPLEnavi2」がユピテルの新型PND『YERA YPB505si』に採用された。淘汰時代のカーナビ業界において、キャンバスマップルはどのような成長へのステップを描くのか。この春社長に就任し、開発・営業の先頭に立ってMAPPLEnavi2の指揮を執る山本幸裕氏に話を聞いた。

◆ガイドブックで昭文社との連携を強化

----:山本さんに話を伺うのは、キャンバスマップルがMAPPLEnaviとしてカーナビ業界に参入したばかりの昨年の夏でした。それから1年が経ち、山本さんは専務から社長へと役職が変わりましたが、その間MAPPLEnaviと業界はどのような変化がありましたか。

山本:2008年6月にユピテルさんのPNDを皮切りとしてカーナビ市場に参入しました。以降、今年の3月にはXROAD、そして6月にはトライウインさんとのコラボが実現し、現在も続いています。ユピテルさんはレーダー機能、XROADはナビとしては魅力的な価格設定、そしてトライウインさんは有機ELをはじめとした高品質なハードウェア、というそれぞれ個性を持つハードメーカーとお付き合いさせていただいています。

----:この夏、MAPPLEnavi2を投入するに当たって、開発陣にはどのような指示を出しましたか。

山本:第1弾のMAPPLEnavi場合、地図の見栄えとスクロールが訴求ポイントで、コンテンツについては+αとしてアピールする程度でした。2を開発するにあたっては、ガイドデータというところに力を入れて、これをアピールポイントとしようと考えました。地図だけでなく、ガイドブックで昭文社との連携を強めています。

◆出かけたい気持にさせるノウハウがある

----:MAPPLEnavi2では約8万件のガイドデータを収録しましたが、これだけの情報を収録しようとした理由は。

山本:これまで、カーナビに収録されるPOIは重み付けがされず、全てフラットでした。高級な鉄板焼きのお店も牛丼チェーンも横一列で検索結果に出てしまいます。これを何らかの形で評価付けできないか、と考えたのがきっかけです。昭文社には長年のガイドブック制作実績があり、人びとの心に“ここへ行ってみたい”と訴えかけさせるノウハウを持っています。このノウハウをPNDで活かした第一弾が、今回のガイド情報収録です。

----:検索結果にガイドデータ付きのPOIが優先表示される“おすすめ順”の新設などは、ガイドデータを積極的に利用してもらうための工夫といえますね。 MAPPLEnavi2のガイド情報を読んで気づいたのですが、必ず雑誌風のキャッチーな“記事”が付いています。ガイドブックのデータを元にした MAPPLEnaviならでは特徴と感じました。

山本:編集者がせっかく心を砕いて付けた記事をデータベースから抜くのはもったいないですしね。

----:エリアごとにガイド情報付きの名所や飲食店が一覧で見られる「ベストドライブスポット」も便利ですね。では、これらのガイドデータをどのように活かしていくお考えですか。

山本:ガイドブックは年次更新が基本ですので、MAPPLEnaviにも旬のコンテンツを利用できる仕組みを入れていきたいですね。また、昭文社では「MAPPLE 観光ガイド」というコンシューマー向けのウェブサービスをおこなっています。今後は、MAPPLE 観光ガイドと連携して、海開き、紅葉、果物狩りといったような季節の情報や特集コンテンツをカーナビに取り入れられるようなサービスを実現しようと考えています。

----:ガイドデータをPND、ウェブサイト、ガイドブックという3つのプラットフォームで利用すれば、コンテンツの有効利用にもありますし、ユーザーへのブランディングとしても利点もありそうですね。では、PNDへのコンテンツ取り込みは、通信モジュールを搭載してオンラインで情報を取り込む、というイメージでしょうか。

山本:私はPNDの常時接続化はもうちょっと先と考えています。3G網をベースにした通信連携サービスは契約面やパケット代などで利用者の負担が大きく、安価でサービスを提供しなければならないPND事業者としてはビジネスモデルが組み立てにくい。数年後には、端末に100Mbpsで接続できることになるでしょうが、その時が来るまではメモリーカードあるいはUSBケーブル経由でPCと繋ぐのが一番かなという考えです。

◆“出かけたくなるナビ”を目指す

----:MAPPLEnaviが今後の目指す方向性はどのようなものでしょうか。

山本:MAPPLEnaviは“出かけたくなるナビ”を目指しています。そのためにまず、目的地設定を楽しいものにしたい。これまで、カーナビは実用品であり、AV以外のナビ機能そのものはエンターテインメントではありませんした。きちっと目的地を検索できて、より速く到着できれば良かったのです。

----:では、どのようにナビゲーションをエンターテインメントとするのでしょう。

山本:“訪れて楽しいスポット”には、展望台や滝などといった絶景スポットのように、電話帳にない場所もたくさんあります。こういうスポットもガイドデータをつけて収録して季節ごとに更新できれば、利用価値が高まります。また、目的地に着くだけが旅行ではありません。行った先で季節のイベントや行事があるかもしれませんし。

----:クルマを降りたあとでも持ち歩きたくなるような端末が必要になりますね。

山本:“持ち歩きたくなる”というのは重要です。Amazonや楽天のショッピングサイトを見ていると思わず買い物したくなるものですが、そんなイメージです。たとえば平日に通勤電車でMAPPLEnaviをいじりながら旅行の計画をしてもらい、週末はPNDをクルマに装着してすぐ出発、というような。そのような普段持ち歩きできる端末をハードメーカーと一緒に作り上げてきたいですね。

----:ナビとの接触時間を増やすことで、「ここに行きたい、あそこに行きたい」と思ってもらいたい、と。では、ハードも共同で手がけるというスタンスになるのでしょうか。

山本:私どもとしては、ハードメーカーは“お客様”とは思っていません。端末を共同開発するパートナーとして、ハードの良さを引き出す存在になりたいと考えています。実際、裏方として地図やコンテンツを使うというよりも、コラボ志向の企業に採用していただいています。お互いの強みや良さを理解してくれるメーカーと組むことで、それぞれのポテンシャルを引き出しカーナビに新たな価値を提供し、最終ユーザー、ハードメーカー、キャンバスマップルの3者がハッピーになれればいいと思っています。

《まとめ・構成 北島友和》

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