プジョーは17日、新型車『RCZ』の全容を明らかにした。RCZは小型のプレミアム2+2スポーツクーペで、2010年春に市販される。
プジョーは2007年9月、フランクフルトモーターショーに『308RCZ』というコンセプトカーを出品。「308」シリーズのシャシーを使用したコンパクトな2+2クーペの提案で、アウディ『TT』などをライバルに想定していた。
RCZはこのコンセプトカーの市販バージョン。車名は308シリーズから独立し、RCZのネーミングが与えられた。プジョーとしては、最近の市販乗用車では車名に「0」や「00」が付かない珍しい例となる。
外観は「ダブルバブル」と呼ばれる、なだらかな弧を描くルーフが特徴。両側のルーフアーチはアルミ製で、ブラックルーフと相まって、高いアイキャッチ効果をもたらしている。
ボディサイズは全長4287×全幅1845×全高1360mm、ホイールベース2612mm。308の5ドアハッチバックと比較すると、11mm長く、30mmワイドで、138mm低い。ホイールベースは4mm長い。
エンジンはガソリン2、ディーゼル1の3機種。排出ガス性能は、すべてユーロ5に適合する。
ガソリンの最上級グレードは、新開発の直噴1.6リットル直4「THP200」を搭載。ツインスクロールターボや吸排気系の可変バルブタイミング機構により、200ps/5800rpmの最大出力と、26kgm/1700rpmの最大トルクを獲得した。オーバーブーストモードでは、最大トルクは28kgmに向上する。
THP200は6速MTとの組み合わせで、0-100km/h加速7.6秒を実現。環境性能は、欧州複合モード燃費14.1km/リットル、CO2排出量165g/kmと良好だ。「サウンドシステム」の採用により、加速中のエンジン音にもこだわっている。
もうひとつのガソリンユニットが、直噴1.6リットル直4「THP156」。こちらもターボで過給され、最大出力156ps/5800rpm、最大トルク24.5kgm/1400rpmを発生する。トランスミッションは6速MTと6速AT。欧州複合モード燃費は14.5km/リットル、CO2排出量は159g/kmだ。
ディーゼルは直噴2.0リットル直4ターボの「HDi FAP」。最大出力163ps/3750rpm、最大トルク34.7kgm/2000rpm、欧州複合モード燃費18.5km/リットル、CO2排出量139g/kmと、パワーと環境性能を高次元で両立している。
ハンドリングに関しては、308などの「プラットホーム2」をベースに、ロールセンターを40mm引き下げ、トレッドは前54mm、後ろ72mm拡大。サスペンションはフロントがマクファーソンストラット、リアがトーションビーム。ブレーキローター径は前302mm、後ろ290mmの大径タイプで、200ps仕様のフロントローターは340mmの専用品となる。タイヤサイズは18インチと19インチ。ESP、DSC、ヒルアシストなども装備された。
内装は308シリーズをベースとしながら、各部の素材を変更し、クオリティをアップ。ヘッドレスト一体の専用レザースポーツシート、メタルリング加工を施したダイヤルなどが、上質な空間を演出する。トランク容量は384リットル(VDA計測法)を確保。フロア下にはサブトランクが設けられる。
高級スポーツクーペらしく、オプションは豊富。カーボンルーフ、ブラッククローム+サテンフィニッシュのルーフアーチ、ナッパレザー、JBL製オーディオ、USBポートなど、個性を引き立てるアイテムがそろう。
新型RCZは、9月15日に開幕するフランクフルトモーターショーで正式発表。欧州では2010年春から販売がスタートする。小型プレミアムスポーツクーペ市場に、旋風を巻き起こしそうだ。