【池原照雄の単眼複眼】ITで弱点をカバーする日産の電気自動車

2009年7月29日(水) 12時05分
新型EV専用シャシーでの実験車両の画像
新型EV専用シャシーでの実験車両の画像
新型EV専用シャシーでの実験車両の画像
新型EV専用シャシーでの実験車両の画像
バッテリーは前後軸の間、床下の画像

◆160kmが航続距離の「標準」に

日産自動車が2010年度に発売する電気自動車(EV)の最終段階の実験車両を公開、徐々にベールが剥がされてきた。同社はこの車両とともにEV向け「ITサポート」機能の導入を提示した。航続距離が限られるというEVの弱点をカーテレマティクス(車載情報通信システム)などを使って補い、ユーザーの安心をサポートする狙いだ。

10年度に投入する市販EVの性能とほぼ同等と見られる今回の実験車両は、2次電池の容量が24kWhと三菱自動車の『i-MiEV』の1.5倍の規模。だが、i-MiEVより車体が大きく、モーター出力も高いことから、航続距離は「160km以上」としている。

日産の実験EVは、日本の「10・15」モードよりやや距離が伸びにくいとされる米国の「LA4」モードでの測定による。しかし、期せずしてというか、i-MiEVの公式値「160km」(10・15モード)と同等の航続距離となった。

言い換えれば、現状の2次電池の容量、コスト、重さといった基本性能をベストミックスさせて導き出されるEVの「標準航続距離」が、おおむね160kmということであろう。日産も三菱も世界各国での1日の平均走行距離データを引き合いに出し、実走行で100km走れれば大半のニーズをカバーできるとしている。


◆ユーザーの不安を取り除く

とはいえ、実際には蓄電状態が常に満タンというところから走り出すわけではないので、ユーザーには「あとどれだけ走れるか」が、心配のタネだ。日産のITサポート機能は、こうした「お客さまの不安を取り除く狙い」(Nissan PV第一製品開発部の松田俊郎主管)で開発を進めている。

このサポートには、主要な機能が4項目ある。まず、カーナビゲーションを使う2つの機能として「航続可能エリアの表示」と「充電スタンドの表示と自動更新」だ。

航続可能エリアは、操作スイッチを押すだけでその時点の充電状況から片道、あるいは往復で走れる範囲を地図上に円形表示する。また、充電スタンド情報は、自車や目的地周辺の存在地だけでなく、新設スタンドの位置なども自動更新する。


◆車両本体同様にコストとの闘い

このほか、エアコン作動や充電の開始時間を設定する「タイマー機能」、さらに携帯電話やインターネットを通じ車両とは離れた場所からタイマーの操作や充電量などのモニタリングができる「リモートコントロール機能」も用意する。

タイマーは割安な深夜電力の利用などが便利にできるようにするものだ。またリモコン機能では、充電の完了を自動的にメールで通知できる機能もつける。こうしたサービスを提供するため、日産は世界共通の「グローバルデータセンター」を設置するという。

一連のサポート機能には、専用カーナビソフトの開発やテレマティクスの車載側へのデータ通信機器装着などが必要となろう。「安心」にはコストが付きものだが、車両本体のコスト同様に、そこをいかに抑制するかが課題となってくる。

《池原照雄》
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