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【池原照雄の単眼複眼】「競争と協調」の役目を終えたNUMMI

2009年7月1日(水) 12時42分
NUMMI(1985年)の画像
NUMMIの画像
ポンティアック・ヴァイヴ生産開始の画像
トヨタ・ヴォルツ生産開始の画像
NUMMI 20周年(2004年)の画像

◆ 産業協力モデルとしての25年に幕

トヨタ自動車とGM(ゼネラルモーターズ)の米国合弁工場、NUMMI(カリフォルニア州)の合弁が解消されることになった。日米自動車摩擦が激化していた1980年代初頭に両国の産業協力モデルとして発足した協力関係は、84年の生産開始から25年で幕を閉じる。

GMによる今回の決定にトヨタは、業績不振が続くだけに「一層厳しい状況をもたらす」(広報部)と受け止めている。ただ、同社にとっては北米の主力拠点であるため、簡単に閉鎖とはいかないだろう。

両社がNUMMIの設立覚書に正式調印したのは83年だった。日米の貿易摩擦を背景に、81年度からは日本製乗用車の対米輸出自主規制が始まっていたので、この合弁プロジェクトはぎくしゃくした日米関係を緩和させる役割も担った。


◆GM破たんで「競争」に決着

合弁計画をトヨタ本社で発表した豊田英二会長(現最高顧問)は、日米自動車産業の「競争と協調」のシンボルにしたいと語っていた。当時には想像もできなかったGMの経営破たんにより「競争」は決着。合弁の解消は、その役目が終わったという意味でも象徴的だ。

トヨタにとってNUMMIの貢献は大きい。84年の時点ではホンダや日産自動車が米国生産を開始していたものの、トヨタの進出決断はやや遅れた。その遅れを取り戻し、しかも未知の国での工場運営のリスクを、合弁によって軽減するメリットもあった。

初の単独進出として88年に稼動したケンタッキー工場など、その後の北米工場運営にNUMMIの経験が生かされた。結果的には破たんしたものの、GM側もNUMMIを通じてトヨタ生産方式を学び、80年代半ば以降の品質改善などにつなげたと評価できる。


◆副社長を務めた豊田社長の決断に注目

NUMMIの08年の生産実績は約34万台で、うちトヨタ(車種は『カローラ』、『タコマ』)が約27万台と大半を占めた。市場の急落で生産は落ち込んでいるものの、能力は年50万台規模で、トヨタの北米工場としてはケンタッキー工場に次ぐ。

トヨタは北米8番目の工場として新設予定のミシシッピ工場について、計画を一時凍結するなど、能力余剰に直面している。このため、NUMMIの今後の運営については、より慎重に検討する構えだ。約4600人に及ぶNUMMIの従業員は、同社の北米工場では唯一UAW(全米自動車労組)の組合員という難しい事情もある。

豊田章男社長は98年から2年近く、NUMMIの副社長を務めた。その点、今後の北米事業展開でどうNUMMIを位置づけていくべきか、勘どころは押さえている。「地域貢献」を重視する新社長の決断が注目される。

《池原照雄》
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