コンパクトカー衝突テスト、結果にメーカーが反論

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米国IIHS(高速道路安全保険協会)は14日、人気コンパクトカー3台を同一メーカーの中型車と衝突させるテストの結果を公表。「コンパクトカーは安全性が低い」と結論づけたため、自動車メーカーが反発している。

IIHSのテストは車対車を前面から、相対速度64km/hでオフセット衝突させる方式。テスト車には米国で人気のコンパクトカー3台が選ばれ、ホンダ『フィット』は『アコード』と、スマート『フォーツー』はメルセデスベンツ『Cクラス』と、トヨタ『ヤリス』(日本名:『ヴィッツ』)は『カムリ』と、それぞれ衝突テストが行われた。

重量が重くバンパー位置の高いSUVやピックアップトラックとの衝突では、コンパクトカーは明らかに不利だが、米国では主流のミッドサイズセダンを衝突相手に選んでいるところが、IIHSのテストのポイントといえる。

結果は、3台とも4段階評価の最低ランク、「POOR」(不可)。過去にIIHSが行った単独での64km/hオフセットバリア衝突テストでは、3台とも優秀な結果を残しているにもかかわらず、現実の事故形態に即した車対車の衝突テストでは、安全性が低いと評価されたわけである。

3台の結果を検証すると、フィットは単独テストでは4段階評価の上から2番目の「GOOD」(良)評価。しかし、アコードとの衝突試験では、ダミー人形は下腿の骨のひとつである脛骨に重大なダメージを負った。また、エアバッグが展開したにもかかわらず、ダミー人形はステアリングホイールに頭を強打。この2点が影響して、評価は最低のPOOR(不可)となった。

スマート・フォーツーはメルセデスベンツCクラスとの衝突で、インパネやステアリングホイールが室内へせり出し、ダミー人形を圧迫。ダミー人形は頭と両足に重大な傷害を受ける結果となった。これが災いし、評価は最低のPOOR(不可)。

ヴィッツはカムリとの衝突によってステアリングホイールが動き、エアバッグが作動したにもかかわらず、ダミー人形はステアリングホイールに頭を痛打。頭に重大なダメージを与えるということで、最低評価のPOOR(不可)となった。

ちなみに、3台の中型車の結果は、アコードとCクラスは「GOOD」(良)、カムリは4段階評価で上から3番目の「ACCEPTABLE」(可)だった。

IIHSのデータによると、2007年に米国で起きた交通事故で、乗車中の1 - 3歳児が亡くなった割合は、コンパクトカーがラージサイズカーの2倍に達するという。また、車両単独事故における死亡率では、ミッドサイズカーはコンパクトカーよりも17%低いとのデータが出ている。

テストの結果を受けてIIHSは、「コンパクトカーは環境性能や維持費の面でのメリットと引き換えに、安全性を犠牲にしている」とコメント。さらに3社の安全性への取り組みを高く評価したうえで、「車重やボディサイズなど物理的な面から見て、小型車が衝突安全性で不利なのは否定できない」と結論づけた。

これに対して、自社製品の安全性が低いと批判された自動車メーカーは反発。スマートの米国現地法人、スマートUSAは「過去に同様のテストをドイツの『Auto Motor und Sport』誌と共同で行っており、その結果は満足できる内容だった」とコメント。米国ホンダも「同様の試験は社内で実施しており、安全性は確保している」と反論している。

ここで気になるのは、IIHSが日本車とドイツ車だけでテストを行っている点。GM、フォード、クライスラー車や米国で人気の韓国コンパクトカーもテストに加えないと、不公平なように思える。それとも、何か政治的な背景があるのだろうか……。

《森脇稔》

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