【ホンダ脳インターフェイス】世界のトップ水準

2009年4月10日(金) 12時08分
考えるだけでロボットを制御するBMI技術(2009)の画像
脳でロボットを操作する基礎技術(2006)。画像データをコンピュータ解析。脳の活動部位抽出(左)抽出された脳活動パターン(右上)動作の判定処理(右下)の画像
新開発のBMIを用いた実験の概要の画像
BMIの脳計測装置の画像
BMIの脳計測装置の概念図(左)と計測データの一部(右)の画像

情報通信技術のなかでも最先端分野とされるBMI(ブレイン・マシン・インターフェース)。機械を人間の思考で遠隔操作できることから、医療技術や軍事技術としてとらえられることが多く、最近まで日本はこの分野では欧米に対してかなり後れを取っていた。

3月31日にホンダ・リサーチ・インスティチュート・ジャパン(HRI-JP)、国際電気通信基礎技術研究所(ATR)、島津製作所の3社による共同研究の成果である新BMIテクノロジーの発表の席で、ATR脳情報研究所の川人光男氏は、「非侵襲型(脳に直接電極などを埋め込まず、体外スキャナで脳情報を読み取る方式)については、われわれは世界のトップランナーに躍り出たと思う。この1年で、論文を山のように発表できた」と、研究の進展ぶりに自信を示した。

2006年、日本科学未来館で行われた特別企画展「脳!−内なる不思議の世界へ」におけるセッションで、HRI-JPとATRが脳血流から人間の思考を読み取り、ロボットにじゃんけんのコマンドを送るというBMIの共同発表を行ったが、その露出を境に優秀な若手研究者や学生のBMI研究への関心が急速に高まったという。

「この2年間で、脳情報分野を志望する人が急に増えた。昨年にはATR単独で、脳情報から人間が見たものを画像として再構成する実験を行ったりしたのですが、それも理系人材の関心を強く引きつけたようです」(川人所長)

工業技術では世界最先端を行く日本だが、科学については分野によって得手不得手がかなりハッキリ出ているのが実情。たとえば物理分野はノーベル賞科学者が出るなど世界の中でも一定の評価を得ているが、21世紀前半のうちに世界の基幹産業として立ち上がると考えられているライフサイエンス(生命科学)は、iPS細胞を用いた再生医療の研究で脚光を浴びた京大再生医科学研究所など一部を除いては、世界のなかで優位な立ち位置にあるとはお世辞にも言い難い。

BMIは生命と工学のハイブリッド分野である医工学、神経工学に属するもので、日本の文化、技術と相性が良いと考えられている。こうした分野を切り口に多様な研究成果が示されることは、若手研究者や学生、ひいては子供などの目をライフサイエンスはじめ自然科学の世界に向かわしめる契機となる。そういう意味でも今回の3社の技術発表は意義深いものであったと言える。

《井元康一郎》
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