目的地までの速達性であるとか、燃費低減、経済性とは無縁ながら、ドライブ自体の楽しみを提案する機能がインターナビに加わった。それが「シーニックルート」と呼ばれるものだ。
シーニックとは、英語の形容詞で「景観」を表す言葉。シーニックルートとは、文字通り「景観の良い道を積極的に案内する」という機能。その元になるのは、ドライブ情報を豊富に持つ”ぴあ”や“日本気象協会”から提供される花の開花情報だという。目的地までのルート計算を行った際、景観の良いルートを経由できそうな場合には「こういうルートがある」という情報の提示を行う。
目的地までの最短ルートではなく、大幅な迂回を伴う場合が多くなるが、インターナビ推進室の野川忠文さんは「これまでのカーナビは“目的地までいかに早く到達するか
”ということだけを主眼においていて、遠回りにしても景観の良い道を積極的に経由させるという考えが無かった」と説明する。複雑な操作をすることなく、アイコンへのタッチひとつで景観優先のルートに変更できるのもポイント。
面白いのは「シーニックルートはナマモノである」ということ。景観の楽しめない夜間には寄り道をさせない。逆に夜景が楽しめる場所を昼間に誘導することもない。当然ながら花の咲いていない時期に花見の名所も案内しない。あくまでも「条件に合致したときのみ、景観の良い寄り道ルートを提示する」という。
これもカーナビ本体ではなく、サーバー側でルート計算をできるようにしたことが大きい。様々な条件をルート計算の際に加味できるようになったのは高性能なサーバーあってこそだ。