昭文社の100%子会社で、ナビ関連分野の事業を統括するキャンバスマップル。MAPPLEnaviの開発も同社が担当している。今回、開発現場の責任者として仕様全般のマネジメントを担当した企画制作部部長の吉橋誠氏に話を聞いた。
◆昭文社の特長であるPOIコンテンツをPNDにも
----:企画するに当たって、MAPPLEnaviの特徴をどこに持たせようとしましたか。
吉橋:まずはMAPPLEらしさを前面に出そう、旅行ガイド「まっぷるマガジン」のスポット情報や、抜け道「渋滞ぬけみち道路地図」の抜け道データといった昭文社の持っているコンテンツをできる限り使おうと考えました。いままで、ガイド情報に主眼をおいたPNDは存在しませんでした。あったとしても、“POIがあります、そこまでのルートを検索できます”という程度でしたが、MAPPLEnaviではスポット情報の詳細な記事も情報も利用しています加えています。
◆“離して確定”でタッチパネルの押し間違いを減らす
----:UIに気をつかったと聞いています。PNDの画面サイズをどのように使いこなしましたか。
吉橋:フルナビは画面が大きく、ボタンも大きく取れるから、押せば外れない。ですが、4.3インチでフルナビと同様の押しやすさを求めると画面全体がボタンになってしまい情報が入りません。かといってボタンを小さくすれば押しづらくなります。MAPPLEnaviでは、ちょっとした工夫でPNDのUIに使いにくさを解消しました。
----:その工夫とは。
吉橋:“押して確定”ではなく、“離して確定”という操作方法です。社内では「ドラッグセレクト」と呼んでいるのですが。たとえばPOIを地図で確認しながら上または下方向に押し続けていると、選択項目が変わっていきます。そのまま押し続けて、選択したいところに来たところで手を離せば確定となります。これなら押し間違いが発生しませんから、確実に操作ができます。
また、名称が長くて画面に表示できていないような場合でも、押しっぱなしで名称をスクロールすることができますので長い名称でも確認をしてから決定できます。POIが画面中にない場合は、スクロールさせることができるので、全部の候補を確認してから決定できます。
----:PNDの文字入力方法はローマ字入力、ケータイ方式、50音式などがありますが、MAPPLEnaviでは50音式ですね。
吉橋:これも“離して確定”を採用したからこそ50音式の入力でも実用になります。キーボード文字のボタンが小さいので離したときのタイミングで入力できます。ケータイ式入力も考えたのですが、社内では50音の入力の評判が良かったので採用しました。
《聞き手:三浦和也》