4月10日、NTTドコモが神奈川県横須賀市の「NTTドコモ R&Dセンタ」にて、研究開発中の次世代モバイル通信インフラ技術「スーパー3G」の実験環境を公開した。同技術が報道関係者向けに公開されるのは世...
【神尾寿のアンプラグド特別編】モバイルで200Mbpsオーバー!! ドコモがスーパー3Gを初公開…後編
4月10日、NTTドコモが神奈川県横須賀市の「NTTドコモ R&Dセンタ」にて、研究開発中の次世代モバイル通信インフラ技術「スーパー3G」の実験環境を公開した。同技術が報道関係者向けに公開されるのは世界初となる。
◆2009年末には開発完了。現実的な展開シナリオ
前編でのレポートをご覧になって分かるように、スーパー3Gの潜在能力はかなり高く、特にクルマなど高速移動環境における“ブロードバンドインフラ”としては本命になりそうだ。とはいえ、今回公開されたのは「実験段階」。実際の商用化スケジュールや展開シナリオが気になるところだ。
ドコモによると、スーパー3Gの研究開発は2009年末には完了する見込みだという。サービス投入時期は事業判断になるが、「(2009年末で)すぐにでも商用化が可能な状態にはもっていく」(尾上氏)考えだ。また、スーパー3G対応の端末はすべて既存の3G機能をサポートし、スーパー3Gエリアは既存の3Gエリアに上乗せ(オーバーレイ)する形で導入される。スーパー3Gのエリア外では既存3Gサービスとして提供されるため、初期のFOMAのように圏外を気にする必要はない。
「スーパー3Gは基地局側に設備追加が必要になるので、(基地局設備の改修だけですんだ)HSDPA導入に比べるとエリア展開に時間がかかります。しかし、既存の3Gとオーバーレイすることで、短期間での全国エリア展開は必須にはなりません。通信需要の状況を見ながら、効果的なエリア整備をしていくことになるでしょう」(尾上氏)
また、自動車ビジネスの視座では、スーパー3Gが“どれだけグローバルなものか”も重要だが、この点でもドコモは国際標準路線を重視していくという。
「(スーパー3Gで)ドコモが勝手に仕様を作るのではないか、という誤解に基づいた懸念があるが、我々は標準化を重視していきます。標準化団体である3GPPで仕様を策定し、相互運用性を前提にした開発を行っていく。他事業者との国際ローミングを踏まえて、他の事業者とは(技術仕様の)歩調を合わせる」(尾上氏)
現在の国際情勢で見ると、ドコモが推進するスーパー3Gは、欧州をはじめとするW-CDMA採用国のアップグレードパス(上位進化技術)になる。北米市場はクアルコムのCDMA(日本ではKDDIが採用)のシェアが高く次世代方式でもモザイク模様だが、GSMからW-CDMAに技術のコマを進めた欧州各国では、次のステップでスーパー3G(LTE)に進む可能性が高そうだ。
一方、スーパー3Gの使用する周波数だが、ドコモでは現在FOMAが使用する2GHz帯(20MHz幅)のうち5MHz幅を利用してスーパー3Gサービスを展開し、徐々に利用する帯域幅を拡大する方針を打ち出している。4G開始後も、3G用帯域のスーパー3Gへの利用転換は続き、長期にわたって3G用周波数を有効活用していく考えだ。
しかし、その一方でスーパー3Gの潜在能力を最大限に引き出すには「理想を言えば、新しい周波数でスーパー3Gが始められると都合がいい」(尾上氏)という。その1つのターゲットになるのが、2012年の周波数再編で目玉となる700MHz帯(UHF帯)である。700MHz帯については、本コラムでも以前紹介したとおり、10MHz幅をITS、40MHz幅を電気通信に振り分けるという方針が出ている。仮にここがドコモのスーパー3Gなど第3.9世代のモバイル通信技術向けに配分されれば、モバイルで100Mbpsオーバーの通信環境が実現する時期が早くなるわけだ。
今回、公開されたドコモのスーパー3Gは、携帯電話の未来であるとともに、モバイルでネットに繋がるすべてのデバイスの未来を担うものでもある。
クルマやカーナビもまた、進化の過程で“ネットに繋がる”のが当然になる。自動車業界の視座でも、次世代モバイル通信インフラの技術動向に注目しておく必要があるだろう。
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