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【池原照雄の単眼複眼】道路特定財源・暫定税率10年延長方針の暴挙

2007年12月12日(水) 12時13分

◆「受益と負担」の原則をないがしろ

政府・与党が2008年度税制改正の焦点となっている道路特定財源の見直しで暴挙に出ようとしている。道路整備支出を上回る分を引き続き一般財源に回すとともに、本来の税率を上回る「暫定税率」を今後10年にもわたって維持する方針なのだ。

「受益と負担」を原則に、ドライバーから高い税率で道路予算を集めてきた経緯には目を向けず、納税者をないがしろにする措置だ。

道路特定財源は、クルマ購入時の「自動車取得税」や購入時と車検ごとに徴収される「自動車重量税」、ガソリンに課税される「揮発油税」など6つの税金があり、今年度の税収は5兆6000億円。

国や地方の道路整備予算に充てると、納税者と約束した税制だが、近年は公共工事を圧縮するシーリングによって道路予算も税収入を下回る規模に抑制され、その余剰分が「一般財源」や「使途拡大」に回されている。今年度予算では一般財源が1800億円、それに使途拡大などを合わせると約6100億円が、本来の目的外に使われている。


◆本筋改革から逸脱する高速料金値下げ

道路特定財源には「暫定税率」という問題もある。道路予算の不足を理由に本則税率を上回る税率を適用してきたものだ。

いずれも本則の2倍前後となっており、しかも、取得税や重量税、揮発油税など多くは1974年から34年にもわたって高い税率が適用されてきた。これらの暫定税率は来年3月末(重量税は4月末)に期限が切れるため、その扱いが一般財源化の拡大とともに焦点となっているわけだ。

政府・与党が13日にまとめる予定の来年度税制改正大綱では、一般財源を1900億円規模に拡大するとともに、暫定税率は08年度から10年間延長する方針が盛り込まれる。一方で道路財源の一部を高速道路料金の引き下げに充てる還元策も打ち出す。

これは長距離や深夜利用に限定して年間2500億円程度の割引を行うというもの。対象は実質的に輸送トラックに絞られ、一般ドライバーはカヤの外となる。明らかに衆院解散・総選挙をにらんだ小手先の税ばらまき策であり、道路特定財源の根本的な見直しという「本筋」改革からは逸脱した措置である。


◆重量税の暫定税率は直ちに撤廃可能

与党がこの体たらくだから、現状では野党第1党の民主党の税制改正方針に期待するしかない。中期的には消費税の見直し(増税)に合わせ、自動車税制そのものも抜本的に見直すべきだが、当面は重量税の暫定税率だけでも撤廃したらどうか。

重量税は本則の2.5倍の暫定税率が適用されている。本則に戻した場合、約6400億円の減収となるが、これは今年度の一般財源など道路整備以外に使われている6100億円とほぼ一致する規模だ。

余剰分は取りあえず納税者に返すという誠意ある対応をし、改めて道路特定財源を含む税制の抜本改革にコマを進めれば、ドライバーの共感も得られるはずだ。

《池原照雄》

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