2007年秋。インターナビは「主要道リアルタイム地図更新」を軸に、テレマティクス機能をさらに進化させる。インターナビの今と今後について、本田技研工業インターナビ室長の今井武氏に話を聞いた。
今井武ホンダインターナビ推進室長に聞く 埼玉県と連携の意義
◆自治体との情報共有はドライバーにもメリット
テレマティクスはクルマの一部。そのポリシーのもと、先進的なサービスを次々と市場に投入し、成長してきたホンダの「インターナビ」。特に同社が先鞭をつけたフローティングカーのサービスは、今やインターナビを支える柱のひとつとなっている。
12月4日、ホンダは埼玉県との間で相互情報連携を行うと発表。フローティング情報を自治体の道路政策にいかすという新たな取り組みに乗り出した。ホンダは今後、フローティングカーのサービスと情報をどのように活用していくのか。インターナビ推進室室長の今井武氏に話を聞いた。
---- インターナビのフローティング情報は、当初は渋滞予測や回避といった「カーナビ機能の拡張」を目的に使われてきましたが、今回の埼玉県との連携は「道路政策」への貢献で使われることになる。これまでと比べると、よりパブリックなものとして扱われていますね。
今井) そうですね。インターナビのフローティングシステムを社会貢献で使う、自治体に協力するという取り組みは、新潟中越地震の時にも行いましたが、今回の埼玉県との連携はより包括的なものになっています。
---- それだけフローティング情報が「インフラ」になってきたということでしょうか。
今井) ええ。交通流の把握や分析で使う基礎データとして、非常に価値のあるものに育ってきました。例えば、先の圏央道開通後の主要道への影響調査を国交省が発表しましたけれども、そこで出てきた数値と、インターナビのフローティング情報から得られた結果が、ほぼ同一でした。
我々のフローティング情報は、交通流全体のモニタリングをする素地として、十分な精度を持つに至っています。圏央道の例でいえば、その完成によって国道16号線はもとより、環状8号線や7号線、さらにはもっと小さな一般道の流れまでどのように変わったのか、というレベルまで把握・分析できる。
---- 埼玉県へのフローティング情報提供は、販売という形を取るのでしょうか。
今井) 無償提供ではありませんが、あくまで「実費をいただく」程度の価格で考えています。ホンダとしては今回の連携を社会貢献と考えていますが、データの抽出・加工にはホンダ側にコストがかかります。この負担をホンダのユーザーがするのも、ちょっとおかしな話になりますから。設備の利用やデータ加工に伴うコスト分は、自治体側にご負担いただきますが、そこで大きく収益をあげるという考えではないです。
---- フローティング情報は、個々のインターナビユーザーが提供するものです。ユーザーへの利益還元については、どのようなスタンスでしょうか。
今井) その点については、埼玉県側から提供される情報で、インターナビのサービスレベルが上がるという考え方です。もともとフローティングカーの基本コンセプトは、インターナビユーザー同士の「情報共有」でベネフィットを生み出しましょうよ、というものです。今回は、その情報共有の範囲を自治体にも広げることで、さらに大きなベネフィットが生まれるという考え方になります。
---- なるほど。確かに防災情報サービスの精度向上などは、自治体の情報提供あってのものですものね。
今井) 他にも、今回の連携スキームでは、インターナビユーザーが提供するフローティング情報が、渋滞緩和に向けた道路整備にも活かされます。
例えば、埼玉県が計測した調査によると県内における平均走行車速は25.1km/hなんです。しかし現時点で、埼玉県内のインターナビユーザーの平均車速は35.5km/h。これはインターナビの渋滞回避機能が有効に作用している効果だと自負していますが、道路環境が今よりもよくなればもっと快適に走れるようになる。渋滞に巻き込まれないことは、ガソリン代の節約とCO2削減にも効果があります。
ホンダがフローティング情報を自治体に提供することで渋滞が減れば、それはホンダ車オーナーの皆さんが快適にクルマにお乗りいただける環境作りにも繋がるわけです。
---- ただ自治体からの情報提供は、"ホンダだけ"にはなりませんよね。民間企業同士ではないので、排他的な提携にはならない。
今井) それでいいと思います。我々は連携の取り組みで、自治体からご提供いただける情報の活用で先行者利益を得ることはできますから。排他的で得られる価値より、先行的であることによる価値の方が大切です。
◆テレマティクスとの連携が全国に広がってほしい
---- 今回、ホンダは埼玉県と連携したわけですが、このような自治体との連携は今後も積極的に行っていく考えですか?
今井) もちろん、そのつもりです。その点で今回の発表は、今後の自治体連携の先行事例という位置づけになりますね。
---- 今後の地図更新や防災情報サービスという点でも、自治体との連携は進んでほしいですね。新規開通道路の情報開示は沖縄県が先行しましたが、今回の埼玉県で2県目になりましたし。
今井) そうですね。ただリアルタイム地図更新に必要な新規開通道路の事前情報開示については、最終的には日本デジタル地図協会(DRMA)がとりまとめる方向がいいのかな、と考えています。
---- 沖縄県、埼玉県の事前公開の流れが、システム化して全国に広がることが望ましい、と。
今井) ええ。メーカーと自治体が、それぞれ個別にやるのではなく、全体的なスキームができた方がカーナビの進化にとってもプラスでしょう。むろん、沖縄県と埼玉県が先行的に取り組んだことは、「新規開通道路」や「防災関連情報」を自治体が積極開示することが、多くのドライバーのメリットに繋がることを実証する上で重要なことです。
---- 先行事例がなければ、その必要性が世に問われることもないですからね。そういう意味では、ホンダと埼玉県が連携すること自体が、道路行政とテレマティクスの連携の意義を示す好例になると思います。
今井) そうですね。今後は、他の自治体とも連携のスキームを構築しながら、最終的には全国規模の展開にしていければと考えています。
---- 本日はどうもありがとうございました。
【株価】根強い先行き不透明感
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ホンダは4日、カーナビが収集する走行履歴データを分析することで、埼玉県内の渋滞解消対策や道路制作の立案といった道路整備への活用について埼玉県を支援することを明らかにした。
ホンダ・インターナビプレミアムクラブでは、災害時の道路崩壊情報をテレマティクスのフローティングカー情報を用いた検証によって地図製作し、救援や復旧のために役立ててゆく枠組みを作ることも呼びかけてゆく構え...
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