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大矢アキオ『喰いすぎ注意』…とろけるフィアット

2007年12月1日(土) 23時48分
トリノのチョコ祭りにて。右がうんちくを授けてくれたダニーラさんの画像
トリノのチョコ祭りにて。右がうんちくを授けてくれたダニーラさんの画像
FIATグッズブームのきっかけとなったスウェット(FIAT photo)の画像
クレマ・フィアット。今日の製法は1911年に確立されたものの画像
2006年開店したトリノのメガショールームの中にも、グッズショップができたの画像

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謎のチョコレート

ところでボク自身といえば、11年前イタリアに住み始めた当初から気になっていたFIAT商品があった。つまり一連のライセンス商品ブームよりずっと前である。何か? といえば、『FIAT』チョコだ。

横丁の何気ないお菓子屋さんで売られている。復活祭の時期には、ちゃんと当地の習慣にしたがって卵型バージョンも発売される。製造しているのは、マイヤーニ(Majani)という会社である。

だが包装には「フィアットのライセンスにより……」といったような表記は一切ない。なんとも不思議な一品だった。

今年春先のことである。トリノ市街でチョコを題材にしたお祭りがあった。すると、あのマイヤーニも出展していているではないか! ちゃんとFIATチョコシリーズも並んでいる。結構な人気だ。

客足が一瞬途切れたのを見計らって、ボクは恐る恐る店員さんに聞いてみた。「あのー、どうしてFIATなんですか?」すると、ダニーラさんというお姉さんは面倒くさがるどころか、誇らしげに教えてくれた。「うちは1796年創業。FIATチョコは20世紀のはじめに、新型車発表の景品として作ったのが始まりよ」

後日調べたマイヤーニ社の歴史で補足すると、1910年にフィアット『ティーポ4』発表の際の引き出物として誕生したそうだ。まあ、当時クルマを買える層は限られていて、発表会に来る人もそれなりの人だったろう。しかし、今でいえば週末試乗会の景品「じゃが玉カレーセット」「天然水」かもしれない。

ちなみに1910年は、フィアットが創業して僅か11年めだ。日本でいえば楽天くらいであり、事実当時の自動車産業もベンチャー企業だったに違いない。

ところでマイヤーニ社は、フィアットのお膝元トリノではなくボローニャの会社だ。「トリノとボローニャの間は340kmあるわ。今日アウトストラーダを使っても遠いのに、その昔トリノのフィアットから指名されたっていうのは、マイヤーニにとって最高の名誉よ」。ダニーラさんの顔は、誇らしげだった。

《大矢アキオ》
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