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【池原照雄の単眼複眼】愚直に開発15年…いすゞの次世代燃焼技術

2007年1月24日(水) 12時23分
いすゞ、井田社長の画像
新型エルフの画像
新型エルフ搭載のD-COREディーゼルエンジンの画像

◆トヨタとの提携を追い風に

いすゞ自動車がメディア関係者との新春懇談会でクリーンディーゼル開発の一端を紹介した。注目されたのは次世代燃焼システムのひとつである「予混合圧縮自着火燃焼」(PCI=Pre-Mixed Compression Ignition)という技術。高速度撮影によるシリンダ内の燃焼映像も披露する力の入れようだった。世界の自動車メーカーでも珍しいディーゼルに特化した内燃機関メーカーとしての技術蓄積の厚みを垣間見せた。

懇談会の冒頭、井田義則社長は昨年を「いすゞの歴史上、最も劇的で変化の激しい1年だった」と振り返り、GM(ゼネラルモーターズ)との資本提携解消とトヨタ自動車とのディーゼルエンジンをめぐる提携を「劇的」な出来事として挙げた。

「トラックとディーゼルで世界のリーディングカンパニーに飛躍」するというのが井田社長が繰り返す中長期展望。トヨタとの提携は「その理念にも合致する」と、「世界トップ」が間近い巨大メーカーとの協力関係は追い風になると自信を深めている。


◆燃料と空気をよく混ぜて低温燃焼するPCI

懇談会では井田社長の挨拶もそこそこに、大半の時間を担当役員による「ディーゼル戦略」のアピールに費やした。日米欧の次期排ガス規制に対応するとともに、省燃費で高出力を確保するための大量EGR(排ガス再循環)システムや2ステージ式の高効率ターボシステムなどの要素技術を列挙。そのひとつとして次世代燃焼技術の「PCI」を紹介した。

PCIは、燃料を早い段階で吹き込み、シリンダ内で燃料と空気をしっかり混ぜて自着火させるものだ。燃焼はシリンダ内全体で起こり、温度は900-1000度Cと低い。2000度に達する通常のディーゼル燃焼の2分の1程度でしかない。また、炎が白っぽい「不輝炎」と呼ばれる燃焼で、煙は発生しないのだという。低温で燃やし、かつ煙を出さないのでNOxやPMの発生を大幅に抑制できる。


◆完成まで、あと4-5年ではすまない

PCI燃焼は、エンジン負荷が低く、回転は低中域のところで使うと威力を発揮する。高負荷・高回転域では高圧噴射や高過給を組み合わせた通常の燃焼にバトンタッチするのが理想。いすゞはこの燃焼技術を1990年代初頭から手掛け「すでに15年ほど研究を重ねてきた」(浦田隆上席執行役員)という。

部分的には、燃焼タイミングをずらす技術などに応用・実用化されているが、浦田氏によるとシステムとして完成するには「あと4−5年ではすまないだろう」と展望する。足掛け20年がかりでようやく実用化が見えるかどうかという息の長いテーマだ。トヨタがパートナーに選んだ背景には、こうした愚直なまでの技術蓄積への取り組みがある。

《池原照雄》
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