兄弟車の『スプリンター』を含めると、累計生産台数が800万台に迫った『カローラ』は、79年3月に満を持してモデルチェンジを断行した。排ガス対策が一段落した時期であり、エンジニアの意気込みも違う。70系と呼ばれる4代目は、今見ても美しいデザインだ。
ストレート基調のウエッジシェイプを採用し、ファミリー系のセダンは初の4灯式ヘッドランプ、スポーティモデルは角型2灯式ヘッドランプを採用した。2ドアと4ドアのセダンを主役に、エレガントな2ドアハードトップ、マルチパーパス志向の3ドアのリフトバック、そしてリアにハッチゲートを備えたファストバックの3ドアクーペと、4タイプを揃えている。
エンジンは新世代の1.5リッター4気筒エンジンが主役の座に就いた。『ターセル/コルサ』から譲り受けた「3A-U」型4気筒SOHCの登場により、「T」型系のOHVエンジンは消滅する。1.3リッターモデルが積むのは、『スターレット』と同じ「4K-U」型4気筒OHVだ。いうまでもなくフラッグシップは1.6リッターの「2T-GEU」型DOHCエンジンを積む「1600GT」である。注目したいのは、DOHCエンジン搭載車のバリエーションを増やしたことだ。3代目まではクーペやハードトップなどに限定されていたが、4代目では4ドアセダンにもDOHCエンジンを積む硬派の1600GTを設定した。
メカニズムのハイライトは、リアサスペンションの形式変更だ。リーフリジッドに代えてラテラルロッド付き4リンク/コイルを採用している。8月には快適装備を満載し、走りもいい1.8リッターモデルを投入した。ただし、2年ほどで消滅するなど、短命に終わっている。
また、82年に1.8リッターの「1C」型4気筒ディーゼルエンジン搭載車が加わったのもニュースだ。5月にはカローラ初の5ナンバーワゴンがカタログに加えられている。エンジンは商用のバンと同じ1.3リッターの4K-U型4気筒だ。まだ、商用車の域は脱していなかった。
83年3月、カローラは累計生産1000万台(スプリンターを含む)の偉業を達成する。これは戦後の最速記録だ。