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【AutoStanding】キッズコーナーという集客装置
◆ディーラーの顧客獲得競争
今年度より自動車メーカー主導による国内販売チャネル再編が本格化している。クルマの国内需要が今後数年にわたり停滞する見通しであるため、不採算店舗の統廃合や店舗のリロケーションなどにより、集客力の向上と販売の効率化を図るためである。
上記施策と並行して、ディーラー店舗では来店型販売強化に向けた施策が行われている。例えば、トヨタの販売チャネル毎の VI 統一や店舗ファシリティの新装、日産とホンダの販売チャネル統合と店舗改装、他サービス産業(ホテルや百貨店等)の接客ノウハウ導入などが挙げられる。
また店舗内部においても、顧客サービス強化の店作りが進んでいる。例えば、明るい店内と清潔なフロアで居心地の良さと快適性を訴求したり、従来、店舗の大部分を展示車両が占有していたが商談や待合いの場を拡大したり、PCを使ったビジュアルプレゼンテーションで色やオプション装着時の姿を確認できるようにしている。
自動車メーカーはお客様に1人でも多く来店して頂くための販売網を整備し、ディーラーは来店されたお客様をもてなす環境を整備するという連携プレーで顧客を囲い込み、限られたパイの中での市場シェア獲得競争に打ち勝とうとしている。
◆集客装置の導入
上記のごとく、自動車メーカーはディーラー店舗における来店型販売を推進することで顧客獲得増を狙っているわけだが、業界間の顧客獲得競争が激しい小売業界、飲食業界では集客装置が重要視されていることに着目したい。
集客装置の例を下記にていくつか紹介する。
・百貨店の顔となる1階部分を占有する高級ブランド
・百貨店の屋上に天然芝を敷き詰めたドッグガーデン
・都市型ショッピングビルへの有名飲食店の出店
・SCやショッピングモールにあるフードテーマパーク
・GMSにある大型キッズパーク
その集客装置を設置することで店舗が得られる効果は下記の3点である。
●集客数の増加:本来の目的である買い物+アルファの付加価値をもたらし、集客数を上げる効果がある。
●客単価のアップ:来店後の滞在時間を長くすることにより、客単価をアップさせる効果がある。
●来店リピート率のアップ:訪問目的が増えることで1人当たりの来店回数を増加させる効果がある。
ダイハツのカフェプロジェクトは自社ディーラーにおけるお菓子や飲物の提供を前面に打ち出すことで来店促進の効果を狙っており、ディーラー店舗における上記取り組み事例のひとつであるといえる。
しかし、このような取組みはディーラーではまだ少なく、大多数の店舗で飲物の提供やキッズコーナーを設置していても、集客装置としての機能を果たしているわけではない。
例えば、ディーラーのキッズコーナーは各店舗が独自に市販のおもちゃを購入し設置しているのが一般的である。店内の広さに限度があるので、その程度で構わないのかもしれないが、他店との差別化を図るための集客装置として活用できる方法もあるのではないだろうか。
以下にて、一部のディーラーで採用されている事例と異業種における事例を紹介する。
◆付加価値の高いキッズコーナー
先日、筆者はディーラー店舗の約200社へレンタルキッズコーナーを販売している株式会社イケヤの池谷社長の話を聞く機会があった。
イケヤの「Little TREE」(以下LT)は4カ月毎に商品を交換するメンテナンス付きのレンタル商品である。商品は130種に及ぶデザインの木製パネルで構成されており、設置する広さに応じて組み合わせることが出来る。また、その素材は建築で使用される国産シナ材を使用し、染料や接着材は天然素材原料のものを使用するなど、子供への安全面、衛生面を考慮している。
池谷社長によると、LTは狭いスペースということを逆手にとって、動の遊びではなく静の遊びをする環境を子供に与える特別な機能を持つという。同伴した子供が精神的に落ち着くことで、親は安心して商談に集中できるため、成約率を上げる効果を狙っているのである。
また、4カ月毎にキッズコーナーはリニューアルされるため、次に行ったらどんなおもちゃがあるのかな?、という期待感を子供に与えることが出来るので、親が子をディーラーに連れて行くための理由付けに一役買うことが出来る。
一方、ディーラー店舗としてもLTの持つ環境や子供の健康面への負荷を最小限にする物作りは、自動車メーカーの環境対策と通じるものがあるのでイメージ戦略として有効だろう。
標準モデルとなる3畳タイプのセットで月額3万7800円であるが、上記の機能及びサービスを踏まえれば、店側としても高い顧客満足の獲得が期待でき有益と思われる。
◆キッズコーナーとカフェの複合体
また、別の事例では、大人の楽しむ場所と子供が楽しむ場所を共有することで集客効果を挙げている。
東京、西葛西にスキップキッズというキッズカフェがある。180平方メートルの店内は立体遊具やポールプールから成るキッズスペースと70席の飲食スペースで構成されている。
この店舗が出来たきっかけは、「親も子供も一緒に楽しむことができる場所が少ない」、「アミューズメント施設では子供は楽しめても親はゆっくり出来ない」というリサーチ結果を元に「子供が遊べて、親も安心して自分の楽しむ時間を持つことが出来る場所の提供」という基本コンセプトを持ってスタートしている。
同店の1カ月当たりの平均利用客数は5000人以上、1組当たりの単価はカフェの収入とキッズスペースの利用料金(1時間/250円、以降30分ごとに100円)で2200円となっている。子供を遊ばせる目的や、カフェを飲む目的、食事をする目的など1週間に複数回来店する客も多く、予想以上の売上をあげているという。
◆家族が行きたくなる場所へ
スキップキッズが示すような親が楽しむ場所、子供が楽しむ場所を融合させるという視点は重要と思われる。
ディーラーにおいて、本来の来店目的であるクルマ関連以外で顧客の来店回数が増えれば、顧客DBを更新する機会を増やすことに繋がり、買い替えのアプローチをタイミングよく行うことが可能となる。
また、店舗内での居心地が良ければ来店後の滞在時間も長くなり、顧客が時間を要するために敬遠しがちであるサービス入庫を誘引することに繋がるものと考える。
子供連れファミリーの行動は、子供の意見が優先されるという。飲食業では、ファミリー層をターゲットとする神戸屋、牛角、安楽亭などでキッズコーナーの併設も一部で導入されており、キッズコーナーを集客装置として活用している良い事例であろう。
クルマを購入する意思決定はドライバーだけで出来ることではなくなっている。クルマのような高額な商品を購入する際には、家計を握る奥様の意見も強くなるであろうし、決定するまで何度も店に足を運ぶためには子供の了解も必要となる。つまり、購入を決定させるためには家族全員のニーズを満たす必要があるのではないだろうか。
その上でも、家族全員がまた来たくなるような店舗を作ることは、販売競争に打ち勝つ上で有効と思うのである。
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