【新連載*池原照雄の単眼複眼】3月の国内系列統合で、ホンダが暴れる…!?

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放置できない失地拡大

販売系列を一本化するホンダの国内営業強化策が3月から動き出す。2002年に過去最高の90万台を販売して一時は100万台を目標に掲げたものの、03年からは70万台前半の低空飛行が続いており、膨らむ失地をこれ以上放置できない状況になった。一方でホンダは、4月から米国工場での生産調整を早々に打ち出したが、これも国内強化を支援する不退転の決意と見ることができる。

国内営業網の統合は、1980年代半ばに構築した「プリモ」「クリオ」「ベルノ」という3系列を「ホンダ」に一本化するものだ。主力のミニバンがすべて併売となるなど、顧客から見てもすでに3系列維持の必然性はなく、むしろ不親切だった。

一方で昨年まで2年連続で過去最高の市場となった軽自動車だが、ホンダは苦戦を強いられている。上位2社による激しいトップ争いと、4年前に参入した日産自動車の躍進に挟撃されている。軽をプリモの専売から全店扱いにしてシェアを取り戻す狙いも大きい。23日には軽の新モデル『ゼスト』を発表して、系列統合に勢いをつける。

◆福井社長、就任以来の課題がやっと

「(社長に)就任した時から、私の課題だと思っていましたよ」。昨年末、福井威夫社長に国内再編は「2年くらい遅きに失したのでは」と水を向けると、こうした答えが返ってきた。もっと早く手をつけたかったという思いがにじんでいた。

ホンダのディーラーは2輪のみの時代から取引が続いているところが大半で歴史は重く、メーカーの意向だけで突っ走れない。昨年9月からプリモ店にはホンダのベテラン営業員を派遣して販売力を強化、「統合ショック」を和らげる配慮も行ってきた。

今後、中期的には店舗の統廃合や拡充などが必要となるが、福井社長は系列統合の効果は「比較的早くでる」と見ている。少なくとも、軽自動車はスタートダッシュがかからなければ、深刻だ。

◆早々に打ち出された米国減産の狙い

1月末の決算発表の席上、青木哲副社長は米国のライトトラック生産拠点であるアラバマ工場で、4月から月3000台規模の生産調整を行う方針を明らかにした。ガソリン価格が上昇気味であり「ライトトラックの在庫増」に予防的に備えるという。減産は年末までを予定しており、計画どおりだと2万7000台にのぼる。

ホンダの1月の米国販売は前年比で21%も伸び、同月の最高を更新した。インセンティブは昨年を若干上回る程度であり、足元の在庫も適正水準なため、「強い商売ができている」(青木副社長)。にも拘らず、早々に打ち出された生産調整は、春以降も北米では収益を毀損させないという決意表明だ。国内営業は、当分安心して「暴れる」ことができる。

《池原照雄》

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