【トヨタ ベルタ 発表】デザインは情感重視

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「3ボックスセダンとして前後への伸びやかさを感じさせるフォルムにするには、全長はどうしても4.3mは必要でした」(チーフエンジニア・古山淳一氏)

トヨタの新コンパクトセダン『ベルタ』は、小型ボディながら上級モデルの『カローラ』よりも大きな室内長を持つという室内の広さを売りとしており、正統派セダンを志向している。が、ことデザイン面に関しては、ガチガチの理詰めではない。3ボックスとしての伸びやかさを演出するために、全体のフォルムから細部に至るまで、かなり積極的にスタイリングしている。

フロントオーバーハングはベースとなった『ヴィッツ』より長い。エンジンコンパートメントのサイズはヴィッツと変わらないため、フロントエンドをバンパー一体型の大型樹脂部品で延長しているのだ。

延長部分はデッドスペースとなっているが、「ワンモーションではなく、ボンネット部にノッチ感を持たせることが、セダンらしく見せるためには大切なんです。また、Aピラーの角度についてもフロントフェンダーのラインに対してどれくらい角度をつければ美しさとセダンらしさを両立させられるか、吟味に吟味を重ねました」(古山氏)

ほか、ボディサイドには伸びやかさを出すためのキャラクターラインをきれいなカーブで描き、トランクリッド直下のリアフェンダーパネルには、『セルシオ』のように短いプレスラインを刻み、トランクを視覚的に長く見せている。

古山氏は「これらのデザインファクターを盛り込むため、クレイモデルを作っては削り、削りすぎてボツにし、またクレイを作って削り……、と、試行錯誤の繰り返しでした」(古山氏)と、苦心ぶりを振り返る。

近年、自動車開発の現場ではCAEが普及し、造形の煮詰めも3Dデジタルモックアップですますケースが増えた。ベルタの造形の作り込みは、そういうトレンドのなかでは異例とも言える。伊達に「美」という言葉を車名にいただいているわけではないというトヨタ開発陣の意気込みは充分に伝わってくる。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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